「『テルマ&ルイーズ』ミーツ『ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア』なロードムービーは意外とアカデミックな下ネタ炸裂コメディでした」ドライブアウェイ・ドールズ よねさんの映画レビュー(感想・評価)
『テルマ&ルイーズ』ミーツ『ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア』なロードムービーは意外とアカデミックな下ネタ炸裂コメディでした
1999年のフィラデルフィア。破天荒すぎる言動のせいで同棲中の彼女に追い出されたジェイミーは親友のマリアンが車の配送代行(ドライブアウェイ)でタラハシーに住む叔母に会いに行くことを知り同行することにするが、配送会社が手配した車のトランクにはあるブツが積まれていて・・・からのロードムービー。
今年リバイバル上映された90‘sヤケクソ映画の金字塔『テルマ&ルイーズ』と『ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア』のハイブリッドのようなプロットだけで観ることにした作品、監督がコーエン兄弟の弟の方であるイーサン・コーエン監督作品ってことでどんなサスペンスが待ってるのかと思いきや、これって『メリーに首ったけ』のファレリー兄弟監督作品なんじゃないの?とクレジットを疑いたくなるくらい壮絶な下ネタ炸裂コメディでビックリ。これでもかと出てくるアレにも辟易しますが飛び道具として仕込まれている豪華なカメオ出演でごっそり笑いを取る狡猾さにもしてやられました。ポスターにも書いてあるし予告にも出ているので書きますがもうマット・デイモンが凄い。チョイチョイ他作でアホなカメオをやってますけどこれがベストかも。ハリウッド・ウォーク・オブ・フェイムに名前を刻んでいるレジェンド俳優がそれやりますか!?みたいな。あと恭しく登場するペドロ・パスカルが○○○蒐集家でしたっていうオチも頭が悪くて最高でした。
主役のジェイミーを演じているマーガレット・クアリーが誰かに似てるなぁと気になったのでググってみたらアンディ・マクダウェルの娘さんでした。また『ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー』での清々しい暴走演技が記憶に新しいビーニー・フェルドスタインがジェイミーに愛想を尽かした彼女スーキーをこれまた暴走気味に演じていて痛快です。
全編とにかくふざけ倒しているんですが、要所要所でやたらと引用されるヘンリー・ジェイムズがツイストになっていたりするので米文学に親しんでる人もニンマリしてしまうアカデミックな作品でもあります。エライぶっ飛んだ脚本だなと思ったらイーサン・コーエンと奥さんのトリシア・クックの共同脚本。しかもトリシアさんは同性愛者だそうでどういうこと?と思ったら婚姻関係はそれはそれとして別々にパートナーがいるのだそうです。そりゃこんな話書けるわと感心しました。