「◇ゴモラたちの'珍'道中」ドライブアウェイ・ドールズ 私の右手は左利きさんの映画レビュー(感想・評価)
◇ゴモラたちの'珍'道中
舞台 は1999年、アメリカ東海岸。フィラデルフィア#Philadelphia (ペンシルベニア州)からタラハシー#Tallahassee (フロリダ州)まで、女の子二人がハイウェイを旅する物語です。題材だけ聞くとテルマ&ルイーズ的アメリカ映画伝統のロードムービーですが、そこはコーエン監督作品なので#クセツヨ に仕上がっています。
とにかく、おバカ、お下劣、ノウテンキな奇天烈レズビアンムービー。性の多様性とかLGBTQとか、重苦しい思想性はカケラもなく、ひたすら「女同士なら、いつでもどこでも誰とでもいい」的な交わりの連続です。
もう一つのモチーフは、ディルド(性玩具)。男性を象徴するフォルムが、あまりにも軽々しく馬鹿馬鹿しく即物的に扱われます。同時に、登場する男たちは総じて"情けない"奴等ばかりです。女の天下の世界観も、突き詰めると爽やかに昇華するものかもしれません。
1999年といえば、ビル=クリントン大統領の時代。モニカ・ルインスキー事件を始めとした性的スキャンダルに溢れた民主党受難の頃でもあります。クリントン政権は、この事件の進展にタイミングを合わせるかのようにアフガニスタンやスーダンへの爆撃を実行、「スキャンダルから目をそらさせるための爆撃」と呼ばれたりしたようです。性的に乱れた世相とは、一種の平和ボケの時代を象徴するものなのかもしれません。
>'Who are you?'
>'Democrats!'
最後に、劇中度々言及される小説家#ヘンリージェームス #HenryJames といえば、『ねじの回転』#TheTurnoftheScrew 大学時代の課題図書として原書で読んだ苦い捩れた記憶があります。