劇場公開日 2025年8月15日

「対物兵器と対人作戦」ランド・オブ・バッド うぐいすさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5対物兵器と対人作戦

2025年8月31日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

CIAの要請により東南アジアで救出作戦を実施するデルタフォースの航空支援のため、空軍から実行部隊に同行する駆け出し統制官キニーと、アメリカ本土で彼の指示を待つ無人機オペレーター・グリムの共闘を描く。

90年代のアクションスリラーを意識しているそうで、孤立した主人公に畳みかけて来るピンチ、ルーキーと老兵の連帯、上と現場の反目…といった王道要素が現代戦闘の中に落とし込まれていた。万年大尉・グリムのキャラ設定の極端さが懐かしい。
戦場から離れオフィスワークスタイルで任務にあたる無人機オペレーション部門の描写が露悪的で、実際にその部門で働く人が気の毒になる程だった。本作に協力しているのは陸軍と海軍とのことで、空軍ならOKということなのだろうか。風評にさらされないことを願う。

航空支援の実態が興味深い。本作で描かれる無人攻撃機のオペレーションや、過去の大戦で航空基地や港を奪い合ったこと、国際法の整備が追い付いていない現代の武装ドローン戦闘を思うと、犠牲の低減と省力化をアピールしてきた遠隔技術が謳い文句の通りに機能しているのか疑問が強まった。

本国では2024年の冬に公開され、配信後にブレイクした作品らしい。本国の映画メディアで記事を探すと公開後の話題の方が多く、制作陣が近年の映画製作や配信時代ならではの事情、別の場所にいるバディを共演させる方法等を、ざっくばらんに語っていたのも面白かった。

日本では様々なメディアで本作の記事を見かけたが、その割に上映館数が少ない気がする。これはこれで日本の映画事情を思わせる出来事だった。

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うぐいす
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