「コミックを最上位モデルで映画化」ルックバック momoさんの映画レビュー(感想・評価)
コミックを最上位モデルで映画化
雨の中、あぜ道をスキップして駆け抜けるシーンから胸が熱くなってきて涙が止まらなかった。
あの動きはアニメでしか表現出来ない。
珍しく紙のコミックを買った作品でもあるが、このたった全一巻のコミックを映画化する方法はいくつかのパターンがあっただろうが、最上位モデルで映画化に成功した素晴らしい例だ。
追加シーンで膨らますこともなく、また簡潔にしすぎず、短すぎず長すぎず。
コーヒーを持って映画館に入ったが、息を飲むシーンが多すぎてコーヒーを飲めなかった。飲むことも忘れる程の集中してストーリーに惹き込まれた時間だった。
藤野、京本を繋ぐ思い出の四コママンガが、風に舞い、するりとドアに吸い込まれる動きも滑らかで、ヴァイオレットエヴァーガーデンの手紙が舞うシーンに引けを取らない。生き物のような動きで、アニメ化に感謝した。
通り魔事件のシーンではどうしても京都アニメーションの火災の事件を思い出さずにはいられなかったけど。
あったかもしれないもうひとつの結末に泣いた。
声優に河合優実を起用した所も素晴らしかった。コミックでは声まで想像せずに読んでいたが、おー!藤野はこの声だよ!
本編の曲もエンドロールの聖歌隊の曲も素晴らしかった。
藤野も京本も必死で絵と向き合う背中に惚れ惚れする。
それはコミックで1番印象的な1枚の美しい絵。
アニメ化されてキャラクターが動いても背中の静止画が出てくる度に人が本気で打ち込む背中は永遠のストップモーションに見えて、ドキドキした。
敬意、熱意、本気、悲しみ、後悔、そして覚悟、全て背中が語っている。
京本が居なくなった後のハンテンの背中のサインの文字も…背中が全てを語らずして語っている。
今すぐ、もう一度原作を読もう!