「振り返ってから前に進む」ルックバック LSさんの映画レビュー(感想・評価)
振り返ってから前に進む
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どういう映画か知らなかったが、好評だと目にし、癖のあるキャラ絵に引かれて鑑賞。
二人の若き創作者の関係性だけでも十分にエモかったのだけれど、悲劇的な事件と絶望からの物語の再生に揺さぶられて涙を抑えられなかった。
終業式後に逢わなかった世界の私の解釈は、自分が京本を殺したと自責の念に囚われていた藤野が、「自分の想像力で京本を救い、彼女に赦されて共に生きる未来」というナラティブを創り上げて自分を解放できたというもの。その象徴があの四コマなのだろう。藤野が呻吟の末にあれを描いたことで、心の中の京本と和解できたのではないか。
劇中の事件からの復活が、ちょうど先日大団円を迎えたユーフォと京アニのスタッフと重なって感じられた。(どんな分野であっても)日々苦しみもがき続けながら何かを創り出す方々に敬意と称賛を送りたい。
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Mさんのコメント
2024年8月17日
人の「死」が描かれる本作は、同じような内容を取り扱った「数日間のエールを」に比べて、私にとっては苦手なものでした。
人の死を気軽(のわけはないのですが・・・)に描いて欲しくない、という感じかもしれません。
ただ、今、Netflixで見ている「響けユーフォニアム」(今「3」になったばかりのところです)を見ながら、池田晶子さんなどの名前を見る度に胸が痛くなります。
この作者や監督は、その場面(喪失感とそこからの一歩)こそを描きたかったのではないか、というある人のレビューを読んで、この作品の印象も変わったところでした。