「ズシンと重い一撃を食らわせてくる青春映画」ルックバック といぼ:レビューが長い人さんの映画レビュー(感想・評価)
ズシンと重い一撃を食らわせてくる青春映画
原作漫画の発表当時、かなり話題になっていたのを覚えています。
原作漫画はジャンプ+で読んでいたため、ストーリーは知っている状態での鑑賞です。
本作を鑑賞した結論ですが、今映画館で一番観るべき傑作映画だったと思います。
上映時間が58分と非常に短いのに鑑賞料金が一律1700円(各種割引対象外)という映画の内容と関係ないところで正直不満がありますが、内容に関しては文句のつけようがないほどに素晴らしかったです。余計なオリジナル展開を追加したりせず、原作に忠実に58分で描き切ったことは評価したい部分ですね。
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絵が得意な小学4年生の藤野(河合優実)は学校で配布される学年新聞で4コマ漫画を連載させてもらっていた。同級生たちからの評判も良く、鼻高々だった藤野だったが、ある日担任の教師から「不登校の京本(吉田美月喜)にも4コマ漫画を一本描かせてもいいか?」と聞かれる。数日後に配布された学年新聞には藤野と京本の4コマ漫画が並んで掲載されたが、京本のプロ並みの画力の隣では藤野の絵はひどく貧相に見えた。プライドを打ち砕かれた藤野はその日から、一心不乱に絵の勉強と練習に取り掛かる。
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何か一つのことに一心不乱に取り組んだことがある人なら、藤野が痛感した劣等感と、血のにじむ努力と、圧倒的才能を前にして燃え尽きたように一気にその熱が冷めてしまうような感覚に共感できるんじゃないかと思います。
原作が有名なこともあって色んな方が本作を鑑賞し、感想を述べています。人によって刺さったシーンが違うことも興味深いですね。シンガーソングライターのオーイシマサヨシさんも本作を鑑賞し、「映画館の店員さんに心配されるくらい号泣した」とおっしゃっていました。オーイシさんも音楽という芸術に向き合ってきた方なので共感する部分も多かったそうです。そういう方の感想を観るのも非常に面白いですね。
『ルックバック』というタイトルも様々な意味をくみ取ることができて面白いですね。
京本が漫画の背景描写を担当しているので「背景を見て」という意味。藤野が京本の背中にサインを書いたのが映画後半の印象的なシーンにつながり「背中を見て」という意味にもなる。個人的にはラストシーンで窓際の席で一心不乱に漫画を描き続ける藤野の描写で、窓の外の背景が刻々と移り変わっていくのが非常に印象的で、これから初めて映画を観る方がいるのであれば、「ラストシーンの背景を見て」と伝えたいです。
本当に面白い映画でした。言葉では説明できない映像の美しさも魅力の作品なので、原作漫画を見てストーリー知っているという方でも、ぜひ映像でご覧になっていただきたいです。オススメです!!!