「生まれ変わっても私はまた漫画を描く なんでってあんたの笑顔が見たいから」ルックバック とぽとぽさんの映画レビュー(感想・評価)
生まれ変わっても私はまた漫画を描く なんでってあんたの笑顔が見たいから
きっと間違いじゃない…?グルグルっと漫画の世界へ入っていくようなファーストカット。本作のベタ塗り等の色付けもまるでそのようだ。共感性の高い藤野のキャラと、しんどくても漫画家を続ける原体験みたいなもの。キャラ名に劇中漫画(本作入場者特典の短編漫画読んだけど違うかったから映画独自?)そして「振り返る」という本作のタイトル……原作者自身の私的体験がどれほど基にあるかはさておき(ex. 絵が下手というコンプレックス劣等感?)、私的感情は本作の根幹にあるのを感じ取れたし、本映画化にあたってそこに押山監督やアニメーター達の感情も乗っかっていた。描き手の迷い線もそのままに。
努力のちから。(舞台挨拶で河合さんもお気に入りのシーンに挙げていた)2人で初めての賞レースの結果を見るところのシーンが良くて、それまで2人の間に明確に上下関係というかパワーバランスみたいものがあった気がしていたけど、その瞬間のカットで2人の生き生きとした似た表情がスクリーンいっぱいに弾けて、このタイミングで2人が同じものを共有し、当初より心理的にも近づいていることを力強く示している。"好きこそものの上手なれ"と言っても、不器用でもひたむきにずっと努力を続けられるのは本当にすごいことだ。演出に劇伴の力もあって、何度も鳥肌立つような場面もあった。こんなに情感豊かなアニメが紡げることに驚いたし、モンタージュも効果的。鑑賞後も余韻深く心に棲み着く感じがあった。
河合さんが一番時間をかけた難しいセリフ「なんすか、先生」
2年半の内、1年くらいは描き続けて
(原作者が『千と千尋の神隠し』流し続けるというエピソードから)『タイタニック』流し続けて
曲毎にキャラクターを
意図的に切られた藤野の笑い声
小学生当時、自分も絵が上手くて、漫画家を夢見てて、自由帳に「ブリ魂」って『ブリーチ』と『銀魂』のキャラクターを使ったギャグ漫画描いていたな…と思い出した。同級生たちが笑ったり褒めてもらうのが嬉しくって。作中で藤野が味わうような挫折は、中学生の頃に味わった。
勝手に関連作品『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド(ワンハリ)』『インターステラー』