「ある意味まんま、だった」ルックバック ONIさんの映画レビュー(感想・評価)
ある意味まんま、だった
上映時間が1時間満たないのである意味素直に、適切に、無駄なくアニメ化されている。いろんなアニメ化があるだろうが想像してたのより泥臭く、原作を読んだ時のページをめくって遭遇したキュッとした思いが、わかりやすく動いて、声がついて、音楽がついて、よりエモーションをまくってくれた感じ。
クラスにいる天才というところでは『さかなのこ 』の冒頭にかなり近い感じではじるけれど、ここに絶対に勝てない相手というのが放り込まれて、根っこに暗い炎が灯るところがやっぱりいい。宮崎駿はじめ、あらゆる天才の幼少期のエピソードに必ず登場するクラスで絶対に勝てない一番のあいつがモチーフのこの手のドラマでは出会いが勝負。姿を見せぬまま、部屋を飛び出していくPOV、街を走るお互いの視点のPOV、アニメなのにこれを繰り返してるところがいちばん美しかった。というか、やはりこの物語は田舎町で友達なんかいなかったというオタクには相当効く話でボロボロ涙が溢れてくるのだけど、実はそこあたりがピークで、その後の事件のニュースをグイッとみるところの動きまでは面白いのだけど、それ以降そんなに飛躍したところはない。そもそも時間経過を「絵」で積み重ねられる原作をそのままやってるのだけど、自分は原作原理主義者ではないので、もっとアニメーションとしての面白さをみたかった、と思う。
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