「今回もデップー節は絶好調」デッドプール&ウルヴァリン ありのさんの映画レビュー(感想・評価)
今回もデップー節は絶好調
これまでのMCU作品や「デッドプール」シリーズ、更には「ウルヴァリン」シリーズを観てきた人に向けて作られたファン・ムービー的な要素が強い作品である。色々なお約束や小ネタが出てくるので、一見さんには少し不親切な内容かもしれない。
自分は「デッドプール」の過去2作品は観ているのだが、ウルヴァリン3部作については最後の「LOGAN/ローガン」しか観ていない。ちなみに、本家「X-MEN」シリーズやその前日弾となるシリーズは鑑賞済みである。そんな自分でも今回は今一つ理解できない設定があった。
例えば、TVAなる組織については全くの無知で、今回初めて知ったくらいである。他のMCU作品ではお馴染みの組織なのだろうか?プロフェッサーXことチャールズ・エグゼビアに双子の妹カサンドラがいたなんていうのも初耳である。
こうした設定が、さも当前のように登場してくるので、正直少し面食らってしまった。
とはいえ、物語自体はシンプルで特に難解ということはない。これまでの「デッドプール」シリーズ同様、下ネタやブラックなネタ等、かなり際どい笑いも出てくる。昨今のMCUに対する毒舌もデッドプールらしくて楽しい。
また、メタ的なお遊びもふんだんに登場してくる。これまで「デッドプール」シリーズや「X-MEN」シリーズを製作してきた20世紀フォックスがディズニーに買収された経緯を知っていると色々と楽しめるだろう。
アクションの見せ場も申し分ない。オープニングタイトルから飛ばしており、一気に映画の世界に引き込まれた。当然これまでのようにゴア描写や下ネタ描写も登場する。このあたりはディズニーになっても変わらなくて安心した。
脚本についてはウルヴァリンのドラマが絡んでくることで、前2作に比べると若干集中力に欠くという印象を持った。デッドプールの戦いなのか。ウルヴァリンの戦いなのか。どちらかにはっきりとさせた方がインパクトが出たのではないだろうか。
それと、そもそもの問題の根源であるTVAのパラドックスに対する制裁が中途半端なのもいただけない。そのせいで過去2作に比べると、どうしても今回はカタルシスという点で物足りなさを覚えてしまった。
映画の支柱を成すデッドプールとウルヴァリンのバディ感は良い化学反応を見せているだけに、ドラマの絞り込みを行って欲しかった。個人的には、「LOGAN/ローガン」絡みのシーンにしみじみとくるものがあったので、そちらに集中しても良かったような気がする。
そんなローガン(ウルヴァリン)を、一度はこの役を卒業したヒュー・ジャックマンが再演している。やはりウルヴァリンといえば彼以外に考えられない。
その他、今回は様々なマルチバースからゲスト・ヒーローが参加してくる。懐かしい顔も見られて同窓会的な趣も感じられた。