「ホラー映画の枠には収まらない自由さ」Cloud クラウド Kさんの映画レビュー(感想・評価)
ホラー映画の枠には収まらない自由さ
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Amazon primeにて鑑賞。
社会問題となっている転売ヤーの末路、的なものを描いたホラーなのかと思いきや全然違う。
前半はJホラー特有の湿った雰囲気で、ゾクっとさせるところがとても良い。
菅田将暉と窪田正孝の男同士の虚栄の張り合いも、目がバッキバキで見どころのあるシーンだった。素晴らしい。役者同士の演技による殴り合い。どちらも負けてない。
しかし鑑賞した人達のレビューを見ると、後半の展開に納得がいかない人が多い様子。
確かに、会社の元上司はなんでそこまでする?とか、殺し屋みたいな青年はなんなんだ!?とか。意味がわからん。
誰にも感情移入できないし、リアリティもない。なんだこれ?
といった風に、低評価をした人は登場人物達が自分たちと同じ人間だと思っているからそう感じでしまうんだろうと思う。
だけどよく考えると、彼らは人間の形をした世の中にある感情の集合体であるので、個人の感情の機微は描かれない。そう考えれば辻褄が合うように思う。
元上司は世の中の理不尽、恋人は空っぽな人間、襲いかかる集団は悪意、主人公は欲望。
殺し屋の青年は主人公を導く悪魔とか?
最後の車が走っている背景も、リアリティからかけ離れた演出だし。
もしかして、このあと2人は悪事を繰り広げて裏社会を渡り歩くアクション映画になるのか?みたいな終わり方が面白かった。
後半のドンパチも全く別の映画になってるし、かなり狂った展開。
いろんな味が楽しめるバラエティパック仕様。
ホラー映画は終わり方が難しいジャンルだと思う。その中で、こんな着地をするとは思いもせず、裏切られ感がよかった。
総じて、とても楽しめた映画だった。
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