クワイエット・プレイス DAY 1のレビュー・感想・評価
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音のある世界
ストーリー、展開、キャラクターや演出は平均的。近年のホラーではかなり上質な方だとは思うけど、前作越えとはならずと言った感じ。でも、相変わらず上手い怖がらせ方で、好きだと思えるホラーはほとんど無い自分でも、この「クワイエット・プレイス」というシリーズの雰囲気は相当好き。
監督が変われど、ジョン・クラシンスキーが作りあげた空気感や緊張感は引き継がれており、最も輝く場が映画館という、世界的に不況の続く映画業界に灯火を与える素晴らしい映画だと思う。沈黙のシーンが多くあるため、劇場マナーを正すいいきっかけにもなるだろう。おしゃべり厳禁、持ち込み厳禁、ついでにポップコーンの音だって騒音になっちゃうけど💦
前作はシェルターや完全防音のヘッドホン、そして赤ん坊といった〈音〉に関する要素が沢山盛り込まれていたが、本作はDAY1ということもあってかなりシンプルな作り。しかし、騒音の街・ニューヨークを襲う"何か"にはこれまでとは違った恐怖を抱き、何がそいつを怒らせるのか、全く分からない人々の状況下には手に汗握った。4DXとの相性も絶妙。"何か"が関わらないシーンは若干退屈だが、ガラス張りのビルや車の連なる路上など、シチュエーション作りがかなり良かった。
なんといってもあのラスト。
過去作と大きく異なる点はここだろう。全くと言っていいほど違った。だが、シリーズで最も印象に残る幕の閉じ方。最後にグッと盛り上がりを見せ、この映画1番の恐怖が凝縮されている。そしてあの名曲。ここでやられた。カッコよすぎる、怖すぎる。思い出のある音楽であるためちょっと贔屓目になってるかもだけど、ホラーのラストはやっぱこうじゃなくっちゃ。終わりよければすべてよし。細かいこと考えたら、超即死!
ほぼ猫映画で、野生の本能は人智よりも凄いのだなと感心してしまいます
2024年のアメリカ映画(100分、G)
『クワイエット・プレイス』シリーズの3作目にして、その1日目を描くスピンオフ作品
ホスピスにて予後を過ごす女性と彼女に助けを求める男を描いたパニック映画
監督&脚本はマイケル・サルノスキ
原題は『A Queit Place: Day One』
物語は、マンハッタン郊外にて、ホスピスに入所しているサム(ルピタ・ニョンゴ)が悪態をつく様子が描かれて始まる
彼女は末期癌に侵されていて、いつ死んでもおかしくない状況にあった
痛み止めで凌いでいるものの、それがなければ全身に激痛が走るほどだった
ある日、介護士のルーベン(アレックス・ウルフ)に連れられてマリオネット・ショーを見に来ることになったサムは、その後にマンハッタンでピザを食べる約束を交わしていた
だが、異常事態が起きたとのことですぐに帰らざるを得なくなってしまう
次がないサムは不本意ながらバスに乗り込むものの、そこでホスピスのメンバーが全員後方の窓に釘付けになっていることに気付く
サムも同じようにそこに身を乗り出すと、そこには無数の何かが地上に降り注ぐ様子が映し出されていた
そして、そのひとつが近くに落ち、衝撃波と粉塵によって、あたりは何も見えなくなってしまうのである
サムは何とか外に逃げ、ルーベンとともに建物の中に避難する
だが、落ちてきた何かから、宇宙人のようなものが飛び出して、人々を襲い始めてしまう
ふたりは逃げ場を求めるものの、更なる衝撃によって、サムは意識を失ってしまった
映画は、『クワイエット・プレイス』の前日譚で、宇宙人が降り立った1日目を描いていく
たまたまマンハッタンにいた一般人の視点で描かれ、宇宙人がどのようなもので、軍などがどのように動いているのかなどはまったくわからない
マンハッタンに到着するときに「墓場の横を通る」とか、軍用機が4機どこかに飛んでいく様子などが暗示的に挿入されていた
さらに、マンハッタン島に架かる橋が戦闘機によって爆破される様子が描かれ、島が孤立状態になっていくことが肌感覚でわかるようになっている
相手が水を怖がること、音に反応することなどが人伝えに伝播していって、それを信じて生き延びる者と、パニックになって餌食になる者との対比も描かれていく
いかにして巻き込まれないように生き残るかという中で、サムは愛猫フロド(Schinzel&Nico)とともに行動し、その途中でエリック(ジョセフ・クイン)と遭遇することになる
サムはどうせ死ぬなら最後のピザを自分が食べると息巻いていて、エリックはそれに付き合わされることになる
だが、その道は助かる道に続き、サムは崩壊した自宅に戻ることができ、エリックは逃げる船に乗り込むことができたのである
『クワイエット・プレイス』かと言われれば微妙な感じになっていて、どちらかと言えば別のパニック映画を見ている感じに思える
シリーズで登場するアンリ(ジャイモン・フンスー)一家に助けられることになるのだが、それぐらいしか繋がりというものが感じられない
また、パンフレットが作られておらず、細かな設定などを確認することもできない
日米同時公開のようで、ほとんど情報がないのも特徴的なので、いろんなことを知るには、原題でググって、色んなレビューを読むしかないように思えた
いずれにせよ、パニックムービーとしてはそこまで真新しいこともなく、ホスピス入所者を主人公にしているので、一般の人とは違う行動を取っていくことになる
猫が同行してるのだが、野生の本能なのか一切鳴かず、それが緊張感の維持に繋がっているのかは微妙に思えた
ラストを捉えれば良いのかは何とも言えないが、ニーナ・シモンを聴きながら最期を迎えるのは映画的だなあと思った
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