「あいという字は、すぐ壊れてしまうのか?」不思議の国のシドニ Paula Smithyさんの映画レビュー(感想・評価)
あいという字は、すぐ壊れてしまうのか?
オープニングクレジット...
二羽の鶴のふすま絵
その意味を汲み取れば
本作の思い入れの他
包括的意味合いも自ずと分かってくるかもしれません。
最初のショットが、映画製作に関わった人たちの思い入れがあると個人的には勝手に想ってもしまう。
シドニ、彼女の旅経つ前の自室... 鏡には景色が映り、彼女の背面の窓にも景色が映る。そのアンバランスな光景こそが映画製作者の想いれとともに日本の耽美的で美意識を凝縮した借景となり、そのアンバランスな構図こそが、以外にも何故か?視覚的にバランスを保っている。
溝口健三って?
初めて、彼のバイオを拝見したけど気にも留めないワンシーンが貴重であり大切であることを... フランスのヌーヴェルヴァーグの監督などにも影響を与えている。その名声とは裏腹に当時としては医療技術や薬物学の遅れに加えて、撮影スケジュールなどから、彼自身、身近に支えることのできなかった彼の近親者への "心残り" が本作にも多少、反映されているのかもしれない。だから
「溝口健三」って、許せてもしまう。 でも後からこんな会話が
Sidonie: That guy is called Kenzo Mizoguchi.
Antoine: Is he related to the famous filmmaker?
Sidonie: No, I already asked. It's a very common name
in Japan
そして、至極あたりまえな存在が、無 = Zero であることを...
Interviewer: Have you always want to write?
Sidonie: No. Writing is what happens when
you've nothing left. There's just
despair. But sometimes, there isn't
even that. There's just nothing.
健三がシドニにこんな事を語る... この事が本作のモチーフだと個人的には捉えている。
We all have a some kind of relationship with the decease.
Some see them, others feel them. The visible and invisible
world coexist. It's like that for us Japanese.
"Ghosts help us live. "
そして、後半には返歌のように思えるシドニの言葉
"The country we live in,
does not exist."
漠然とした幽霊をモチーフに日本を美しく描き、二人の関係の変遷を緩やかに描いたロード・フィルムには細かなところに悲しい事に多くのソゴがあり、ラストシーンを含めて、多少の違和感がある。それを取り上げることのできない程、取り上げるのをチュウチョさせる程、また映画の善し悪しに関係ない程、あたし個人の強い思い入れがあり、再度、大切な "何か?" を分かり始めてもいた。だから、この作品を傷つけたくもなく、これ以上のネタバレはやめます。
悪しからず
アンバランスな邦題のむなしさ!?
ただ、一言...
シドニの幻視という形で現れたアントニーをありふれた映画のように使い古されたホログラムで描いている。そうではなくて、足音が聞こえるほど"生々しく" 亡霊たちを描いた先人のように、中国怪奇小説や日本の幽霊物語に出てくるような子供までも授かる生身の人として、この世に存在しないものを敢えて描いてほしかったと...
手を繋ぐことを忘れた人たちへの
シドニのような可愛らしい心を忘れない女性は...今は、いないのかも!?
稚拙な考えの者より...