「悪用厳禁の心理テクニック動画が好きな人ならハマるが、本当に悪用厳禁ですよね」コンセント 同意 Dr.Hawkさんの映画レビュー(感想・評価)
悪用厳禁の心理テクニック動画が好きな人ならハマるが、本当に悪用厳禁ですよね
2024.8.6 字幕 アップリンク京都
2023年のフランス&ベルギー合作の映画(118分、R15+)
原作はヴァネッサ・スプリンゴラのノンフィクション小説『La Consentement』
13歳の少女が憧れの作家と関係を結ぶ過程を描いたスリラー映画
監督はバネッサ・フィロ
脚本はバネッサ・フィロ&ヴァネッサ・スプリンゴラ&フランソワ・フィロ
原題の『La Consentement』、英題の『Consent』はともに「同意」と言う意味
物語の舞台は、1985年のフランスのパリ
憧れの作家ガブリエル・マツネフ(ジャン=ポール・ルーヴ)のディナーに招待された13歳のヴァネッサ(キム・イジェラン、壮年期:エロディ・ブシューズ)は、母(レティシア・カスタ)とともにテーブルに着いていた
だが、大人同士の会話は退屈で、ヴァネッサは席を外して、ガブリエルの小説を読み始めた
それに気づいたガブリエルはヴァネッサに親身になり、いろんなアドバイスをしていく
文学の話をしたり、積もるような感情を露わにするヴァネッサは、ガブリエルの招待を拒めずに、彼と2人きりで会うことになった
ガブリエルは言葉巧みにヴァネッサを刺激しつつ、13歳と言う年齢もあって、それ以上のことはしない
だが、それが却ってヴァネッサに火を点けることになり、14歳になった彼女は、とうとうガブリエルと大人の関係になってしまう
母は最初は反対していたが、当時は同意が取れればOKのグレーゾーンの年齢でもあり、それ以上は追求することをしなかった
だが、ある日を境に、ヴァネッサはガブリエルの目的に気づいてしまう
そして、彼からの寵愛は、単なる作品作りの道具であったことに気づくのである
映画は、告発のノンフィクションが原作になっていて、原作者が脚本に関わっている
なので、完全に被害者目線の展開になっていて、加害者がどのようなアプローチで誤認させていくのかを描いているように思える
いわゆる立場の差を利用したものだが、映画の流れだけを見ると無理やりと言う風に見えないところが狡猾な段階を踏んでいると言うことなのだろう
思春期の欲望が先走る中で焦らしたり、相手にYESと言わせる状況を作っていくのだが、これが純愛だったら告発と言うものもなかったかもしれない
だが、結局のところ、小児だったら誰でもOKと言う変態さんに捕まってしまったので、あの時に書店員が止めずに彼の作品を読んでいたら、思いとどまったようにも思えた
時系列は順列なのだが、1985年からいきなり2013年に飛ぶシーンが唐突で、一瞬何のディナーかわからなくなってしまう
そこで登場する50歳のヴァネッサがディナーを終えて告発本を執筆すると言うオチになっているのだが、さすがにこの演出はわかりにくいとしか言えない
てっきり、年を取った母親がパソコン画面に向かったのかなと思ったぐらいで、そこで30年飛んでますの説明がないのはさすがにキツいと思った
いずれにせよ、かなり気持ち悪い内容の映画で、トラウマがある人は避けた方が良い映画だろう
心理学的なアプローチと言うよりは、経験則から感じたままを描いているので、それゆえにリアルすぎる部分がある
悪用厳禁にも思える心理学的分析もできると思うものの、こう言った心の隙間を突いてくる輩もいる、と言うことを知るためには「教育」の一環で認知させるのもアリなのかとも感じる
それでも、かなり生理的に無理な部分があると思うので、鑑賞の際には注意された方が良いだろう