「オジサンの夏休みに観る」クレオの夏休み LaStradaさんの映画レビュー(感想・評価)
オジサンの夏休みに観る
ああ、僕は疲れて気が弱っているのかなぁ、それとも歳のせいなのかなぁ。丁寧に撮られたこんな繊細なお話を観ると素直にウルウル来てしまいました。
母を亡くして父とパリで暮らす6歳のクレオは、アフリカから来た乳母のグロリアが大好きです。ところが、そのグロリアが故郷に帰ってしまったので寂しく、ひと夏だけグロリアの島で過ごさせてもらうと言うお話です。
もう、このクレオがとにかく可愛いのです。大好きな人とずっと一緒に居たい、一人占めしたいという幼い思いがそのまま素直に記録されています。それは勿論脚本に基づくストーリーなのでしょうが、僕には幼い女の子の日常を捉えたドキュメンタリーに思えました。日本の映画では子供が出て来る映画は「上手い子役だなぁ」と思うのですが、外国の映画では「どうしてこんなに自然なのだろう」といつも思います。子供の撮り方のどこが違うのでしょう。
それほどにありのままの子供の姿が映っているので、
「ああ、子供はやっぱり誰かに守られてる安心感が欲しいんだなぁ」
「クレオは大きくなってからもう一度この島を訪れたのかなぁ」
「こんなにも豊かな思い出は人間を形作る大きな柱の一本になっただろうな」
と様々な思いが広がりました。物語の途中でふいに挿入されるアニメーションが独特の優しさを増幅します。
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