劇場公開日 2024年7月12日

「クレオの心情に大いに共感!」クレオの夏休み ひでちゃぴんさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0クレオの心情に大いに共感!

2024年8月17日
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鑑賞方法:映画館

クレオの心情、感情の揺れうごきを、クレオの表情や時折差し込まれる
アニメーションを通して、リアルに描き出していて、
思わずクレオに感情移入できてします、秀逸な作品だと思います。

冒頭、クレオの乳母であるグロリアとの関係性、つまりはクレオのグロリアに対する
絶大な信頼感と愛情を描き、
それからクレオの周囲の環境にコンフリクトが起きていき、物語が進行していきます。

グロリアの母親が亡くなり、グロリアは帰国を余儀なくされるわけですが、
クレオはグロリアの母国まで会いにいくんですね。
グロリアと共に暮らす男の子セザールは、クレオにグロリアにとられたように感じ、
クレオに冷たく接する。
グロリアの娘ナンダに息子が生まれると、今度はクレオがその赤ちゃんに猛烈に嫉妬する。
「死ね」とまで言わしめるんですよ、クレオに。
その猛烈且つ屈託のない嫉妬心が描き出された時、この年代の子どもには当然に起こり得る感情であることを
観客は理解すると思うんですね。

クレオの母国において置かれている環境は、母を癌で亡くしている、シングルファザーの父親は忙しくしているため
乳母(家政婦?)が必要、でも父親もクレオを愛しているので、すごくかわいがっているんですね。
でも、クレオにとっては常に側にいてくれたグロリアが絶対的な存在なわけです。
ここを認識しておく必要がありますね。

クレオはグロリアの母国であるアフリカで様々な体験&感情の機微を通して、ある意味逞しく成長していきます。
そして、グロリアとの別れを意識したときに、ひと皮むけるというか、大人の階段を登り始めたと思うんですね。
アフリカ滞在中に、決定的な文化の違い、住んでいる世界の違い、そういうことに気づかさざるを得ない環境に置かれ
クレオはグロリアとの別れを決定的に認識したのだと思います。
このあたりが実に切なく苦しいのですが、別れは誰にでもやってくる。それをクレオの純粋な気持ちと表情にのせて伝えている
この作品、ただものではないと思いました。

猛烈に切ないラストシーンもこの映画のクオリティを格段に上げていると思います。
終始没入することができた稀有な作品。
ぜひ、多くの方に鑑賞いただきたいですね。

ひでちゃぴん