「クレオの表情に魅入られた」クレオの夏休み talismanさんの映画レビュー(感想・評価)
クレオの表情に魅入られた
フランス映画は小さい子どもや若い子を主人公にした映画が多くて、どれもがレベル高いなあと確信できてしまった。
クレオとナニーのグローリアの顔アップがとても多い。クレオが笑う、ふざける、黙る、悲しむ、泣く、謝る、寂しがる、くるくる変わるクレオの表情とまだ乳歯もたくさんかな?という口元もおでこも大きな瞳もくるくる癖毛の髪もふっくらした手足も指も全てをよくこうも美しく愛を込めて撮影できるものだと心から思った。
クレオのパパがシングル・ファザーなのはママが癌で亡くなったから。まだ6歳なのにそれを思い出して、グローリアの母親も同じ病で亡くなったことを知って涙を流して泣けるクレオが羨ましい。感情を素直に出せること、親なり大人の顔色を伺わずに済むってなんて幸せで自由なんだろうと思った。
クレオがグローリアの家に滞在中、まだ遊びたい盛りなのにおそらくシングル・マザーとして赤ちゃんを生んだグローリアの娘。今までクレオが一番年下だったのに、その赤ちゃんの誕生をみんなが祝い喜び、夜泣きにつきあう。死んでしまえばいい、とクレオが思っても仕方ない。居心地の悪さをだんだんとわかってきた。クレオの成長。
空港でクレオと健気に別れてからのグローリアの大きな大きな悲しみの涙にはつられてしまった。
間にちょこちょこ入るアニメーションはクレオの夢や願いや恐怖を表していてとても良かった。
talismanさん、コメントありがとうございます。
この作品、鑑賞直後は「気持ちがざわざわする」という印象が
強すぎて、観ていてどうにも落ち着かなかったのです。
ですが、時間の経過とともにその部分が濾過されていったよう
で、気がつくと「クレオの心情」がしっかりと描かれていた事
に気がついた、そんな気がしています。
奥の深い作品なのかも です。・_・