「素敵な映画でした。」つゆのあとさき 2020さんの映画レビュー(感想・評価)
素敵な映画でした。
リアルという口コミを多く目にしていたが、映画を見た正直な感想は、フィクションを見ているようだなっていう感想だった。
身近でパパ活をしている人がいなかった訳でもなく、パパ活をしているであろう場面を目にしたことも勿論あるが、その人々のリアルな生活を全く知らず、想像もしたことがなかった。
当事者でないのだから当たり前と言えば当たり前だが、みんなそうやって何かを抱えながらも生きてるんだなということに気付かされた。
辛いシーンや悲しいシーンが多い映画だったが、不思議と心が落ち込むことも、後味の悪さも感じなかった。
それどころか、髙橋ユキノさん演じる琴音が懸命に生きる姿、西野凪沙さん演じるさくらと距離を詰めようと、自分を変えようと一歩踏み出す姿を見て、うだつの上がらない自分と重ねて必死に生きようと勇気すら貰えた。
それだけ彼女たちの生きるエネルギーを感じる映画だったと感じた。
最後に、本映画に置いてあまり良い描かれ方をしている訳でも無く、対してバックボーンが描かれている訳でもない、女性たちを買う男性陣。僕は個人的には彼らを嫌いにはなれなかった。描かれていないだけで何か傷を抱えているのかもしれない、ただの欲の捌け口かもしれない、そのあたりは映像からなんと無く察せる部分はあれど真偽はわからない。
きっと彼らも女性陣と同様に彼らなりに必死に生きていると思うと、嫌いになることはできなかった。クソムカつくところはあれど。
勿論映画だけで見れば嫌いだが、物事は多面的で自分から見える景色や姿だけがその人の全てではないということ、普段渋谷を何気なく歩く彼女たちの中にも琴音やさくら、楓がいるかもしれないということを忘れないで生きていきたい。