「主演もいいが脚本もいいグレン・パウエルが本領発揮」ヒットマン 清藤秀人さんの映画レビュー(感想・評価)
主演もいいが脚本もいいグレン・パウエルが本領発揮
大学で哲学と心理学を教える男が、訳あって職務停止になったおとり捜査官に代わって潜入捜査を始めることに。このありそうでなさそうな話がさらに面白くなるのは、主人公が依頼人の女性に恋してしまってから。実話ベースの物語に適度な脚色を加筆し、観客をぐいぐい引っ張っていくのは、主演と脚本を兼任しているグレン・パウエル。今、あちこちで"ポスト誰々"という形容詞付きで語られているハリウッドの新しい救世主だ。
話の肝は、誰しも別人格を装うことは楽しいに違いないが、そこから、自分を変えることと自分自身でいることの配分にこそ生きる知恵があると我々に分からせるところ。そのあたりもパウエルの脚本は巧みだ。
監督のリチャード・リンクレーターはパウエルと共に製作と脚本を担当している。『ファーストフード・ネイション』(06)から20年近くバディ関係をキープして来た2人だが、早くからリンクレーターが"将来きっと大物になる!"と信じていたという盟友のグレン・パウエルが、本当の意味で気になる脇役から魅力的な主演俳優にシフトしたのが本作だ。
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