「利害関係の板挟み」正義の行方 てつさんの映画レビュー(感想・評価)
利害関係の板挟み
クリックして本文を読む
序盤は、容疑者が良い人物と受け取られる一方で、スクープしようとする地元紙記者によって、警察でさえ立件に慎重だったにもかかわらず、決めつけ報道に流れて行き、死刑判決が出て、安心するという、趣旨を疑うような展開であった。
死刑執行後の弁護団の出直しとともに、当該記者の上司による検証取材の開始の決意から、徐々に決めつけ捜査と取材の過ちが明らかにされていく。地元紙連載記事には気づいていたけれども、読者の立場からは、その意義が掴み難かった。
初めにスクープしようとした地元紙記者は、ジャーナリストとしての自らの過ちを認める一方で、捜査に当たった警官たちは、見込み捜査であったことを認めつつも、その後同様の事件が起きていないことで、自分たちの捜査の正当性の主張を止めていない。そこは板挟みである。
制作は NHK が担当しているが、関連テレビ局であるテレビ西日本であれば、なお良かったのではないか。
私の友人が医療事故で亡くなったものの、その家族が勤める病院でもあったため、訴訟は断念していた。利害関係によっても「正義」は異なってくるものだ。
コメントする