「すごかった」胸騒ぎ 吉泉知彦さんの映画レビュー(感想・評価)
すごかった
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見ていてずっと雰囲気の悪い人間ドラマで、どこがホラーなのだ?と思っていて、それはそれでギスギスした感じや探り合いが充分面白いからいいか、などと思っていると終盤とんでもない展開で一気に恐ろしくなる。主人公夫婦が言われるがまま服を脱いで無抵抗のまま投石で殺される。
オレは常に危険や暴力に対抗することを考えていて、あの状況では絶対に敵に一発かます腹づもりだ。しかしいざその場面になったら硬直してつい相手の命令に応じてしまうかもしれない。そのために空手や抜刀術を習って刀も持っている。そんな訓練や想定は机上の空論で、子どもを助けることもできず無抵抗のまま全裸で殺されるかもしれない。恐ろしい。
何度も最悪の結末を回避する選択肢が示されているのも、意地が悪い作りだ。
犯人がバカンスの最後で殺しに来る。それほど周到な感じもなく、もしかしたら途中で逃げられたら仕方がないという思いもあったのだろうか。子どもを殺す前に次の子どもを奪う方が成功率が高いはずだ。被害者をもてあそんでいたのだろうか。そう思うと余計に怖い。
悪夢のような里親映画でもある。児童相談所に発見されないように山奥で暮らしているのだろう。
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