「この映画の素晴らしさ」こころのふた 雪ふるまちで kuroroさんの映画レビュー(感想・評価)
この映画の素晴らしさ
若者の生きにくさを描いている映画が数多あるなか、ここまで正々堂々と、真摯に、分かりやすく、エンタメとして昇華した映画はあるだろうか。高校卒業を巡って、少子化、貧富差、地域伝統、後継者問題を描きつつ、登場人物たちの夢や恋愛があり、諦めや葛藤や焦燥や自己犠牲や期待や希望が交錯しながら、それぞれの思いが、じわりじわりと伝わっていく。その思いのすくい方、紡ぎ方が見事で引き込まれていき、いつのまにか厳しい現実を忘れ、登場人物たちや自分までもを応援したくなる不思議な感覚に陥る。
昨今、若者を描いてもリアルさを必要以上に追求し過ぎるが故に、一見救いがないように見えるが一筋の光が…的な大人のための映画が多すぎるような気がする。
しかし、本作は、特に若者に見てもらいたい。もっと言うと18歳の若者の全ての人に見てもらいたい。そんなことを思わせる稀有な力をもってしまった映画なのかもしれない。
上映館が全国に広がり繋がることを祈る。
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