「「泣ける」という煽り文句が好きではない方にもオススメ」余命一年の僕が、余命半年の君と出会った話。 波多野七月さんの映画レビュー(感想・評価)
「泣ける」という煽り文句が好きではない方にもオススメ
突然だが、「泣ける」という言い方が好きじゃない。「泣ける」って、何なんだ。水道の蛇口じゃあるまいし、そんなに勝手に涙が出たり引っ込んだりするものか。そんなひねくれものの私だが、気づいたら箱ティッシュを一箱あけていた。
余命ものも「泣ける」という煽り文句そのものも苦手なこの私が「何故、観ようと思ったか」を突き詰めていくと、「そこに、推しがいたから」にたどり着く。そう、King & Princeの永瀬廉さんだ。
ただ誤解のないよう言っておくと、朝ドラの「おかえりモネ」で初めて知ったときにその目の演技にのけぞり、アイドルとして知るよりも前に「役者として」惚れ込んだ。
この作品は、いわゆる余命ものだ。タイトルですでにストーリーの9割はわかってしまうし、アイドル映画と思われてしまうこともあるだろう。だが、私は恥ずかしいくらいに泣いてしまい、永瀬廉さんが演じる秋人と、出口夏希さんが演じる春奈との間に流れる、透明感あふれる柔らかな空気に一発でやられてしまった。
映像美の素晴らしさ、フジファブリックの「若者のすべて」をヨルシカがカバーした主題歌、あまりに美しくて若くみずみずしい主演2人の演技、何もかもが涙腺をついてくる。
「あと、何日生きられるか」ではなく、「今、ここを生きてみたくなる」だなんて、青臭いことを口にしてみたくなる。
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