「元祖「オーメン」のインパクトが強すぎます」オーメン ザ・ファースト sunbeams72さんの映画レビュー(感想・評価)
元祖「オーメン」のインパクトが強すぎます
今回は、オーメンの前日譚ということで、期待していましたが、ストーリーに少しがっかりしました。
主人公マーガレットは、いかにも敬虔で真面目そうなクリスチャンですが、ルームメイトの子にディスコに誘われ、酒を飲み、その場で出会った男といい雰囲気になります。マーガレットらしくない行動に違和感を感じ、裏で教会が手を引いているというストーリー展開が予想できました。
獣の血を引いているのに、生まれてから、ずっと、普通の人間として、邪悪な雰囲気を全く出さずに生きてきたように見えるマーガレットにも違和感を感じました。ダミアンやカルリータのような怪しさや、時折見せる邪悪さが皆無です。
マーガレットにGPSが付いているのかと思うくらい、彼女の居場所を把握しているブレナン神父は、神出鬼没で不思議な存在です。彼の過去についてもっと知りたくなりました。
悪魔を産ませるという壮大な行いの理由が、宗教に無関心の若者を恐れさせ、再び信仰心を呼び戻すという小さいことのためだったということに驚きました。しかも、悪魔は男じゃなきゃだめというこだわり。
それと、CGで作られる炎がしょぼくて、もう少し、頑張ってほしかったです。
獣が、最後、炎に包まれて死んだと思われますが、獣がどういう存在なのか深堀りされておらず謎です。ほかにもいるのか、曖昧でモヤモヤ感が残りました。
それと、この教会がなぜ、悪魔と関係を持つようになったのかの説明もないので、話に深みが出てきません。
ただ、俳優の演技は素晴らしかったですし、1970年代のイタリアの雰囲気も良かったです。
オーメンということで、登場人物がどんな殺され方をするんだろうと、勝手に期待していたのですが、元祖オーメンと似通った殺され方で、肩透かしを食らいました。
ダミアン(悪魔)が生まれる前でも、面白い殺し方を演出することはできたんじゃないかと思います。
教会側にミセス・ベイロックのような異様で雰囲気の怖いキャラがいないせいか、見てて恐怖は感じませんでした。
とにかく、元祖オーメンのインパクトが強すぎて、私にとって、あまり印象に残らない映画となりました。
子供たちの見ている前で、建物から笑顔で飛び降り、首吊り自殺をする子守
落下してきた避雷針で串刺しになるブレナン神父
ビルから突き落とされ、救急車の屋根を突き破り死亡するキャサリン
後退するトラックの荷台に積まれたガラス板で首がすっ飛ぶカメラマン
元祖オーメンでは、インパクトの強い死亡シーンが映画の大きな魅力となっています。
登場人物も個性が強くて、一種異様な雰囲気を持っています。
ブレナン神父、ミセス・ベイロック、カメラマン、笑顔が怖いダミアン、どれも存在感が強いです。しかも、グレゴリー・ペックが出演しているという意外性。ストーリーも面白いです。
「オーメン ザ・ファースト」をきっかけに1976年制作の名作「オーメン」を見る人が増えることを期待します。