「世界中が体験した非日常をタイムカプセル化」季節はこのまま 村山章さんの映画レビュー(感想・評価)
世界中が体験した非日常をタイムカプセル化
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コロナ禍の自粛期間という、世界中がほぼ同時に体験した非日常な事態を、淡々とした日常描写で描いている。主人公たちは田舎の感じのいい実家に巣ごもりしていて、芸術家肌ということで慣れない環境に不安を感じたり苛ついたりしながらも、どこか呑気な高等遊民感を醸し出していて、そのへんを意地悪に見ることもできるし、監督が自分自身を自嘲している描写にも思える。インテリ的な衒学にちょっと辟易する瞬間があったが、それも含めて、あの時期に心理的に閉じ込められた一般人のサンプルとして成立していて、やはり共感を持って観ることができる。とりわけ、世界的な危機的状況でありながら平穏を見出してしまった主人公に共感したりした。今後も「あの時期」を描く映画は作られるだろうが、タイムカプセル的な役割を果たしてくれる普遍性を備えた良作。
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