劇場公開日 2025年5月9日

「ステイホームの春時間」季節はこのまま sugar breadさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0ステイホームの春時間

2025年5月29日
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鑑賞方法:映画館

オリヴィエ・アサイヤス監督好きです。「イルマ•ヴェップ」や「パーソナル•ショッパー」などケレン味のある作品も良いですが、「冬時間のパリ」や本作のような、まったりした作風も味わい深いです。彼ももう70歳ですからね。

フランスの田舎ノルマンディーの美しい風景が目に優しいです。咲き誇る春の花々、古いが小洒落た実家の造りと文化の香り。

主人公のポール。両親とは距離があったようですが、弟とのああ言えばこう言うせめぎ合いはうるさいけど、じゃれてると言うか、心の底では何となく通じてる気がしました。

ポールの神経症的でインテリぶった描写は昔のウディアレンを見ているよう。文学や映画、絵画へのうんちくはペダンチックに映りそうですが、それほど嫌味な感じはしなかったです(もちろん私には半分も分かりませんでしたが)。ジャン・ルノワールのインタビュー音声は興味深かったです。

アサイヤスに青年時代を模した描写がチラッと映るのもなかなか面白かったです。でもあれってリベンジポルノなのでは?!

コロナ禍での幕間とはいえ、このまったりした生活感は余裕の裏返しと言えますね。離婚しても、気の置けないパートナーがすぐいるし(フランスらしい)、うらやましい限り。

世の中には実際「禍」の部分も多かったし、ユートピアと言ってしまうのは、さすがに憚られますが、このぐらいのパーソナル・ディスタンスは心地よくいい感じです。
やはりアサイヤスは見逃せない!

sugar bread
Freddie3vさんのコメント
2025年5月29日

共感、コメント、ありがとうございます。映画を観て、心にうつるよしなしごとを書きつくれば、あやしうこそ、ものぐるほしけれ。あ、これは枕ではなく、徒然草でした

Freddie3v