劇場公開日 2025年5月9日

「途中で帰ろうかと思ったけど」季節はこのまま 島田庵さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0途中で帰ろうかと思ったけど

2025年5月28日
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鑑賞方法:映画館

笑える

原題 Hors du tempsは「時間から外れて」=「浮世を離れて」。
コロナによるロックダウン中のフランスで、
田舎に「疎開」した兄弟2人と、同居するその恋人2人(+α)の話。

のっけから、5分だか10分だか、延々とナレーションで、
舞台となる家とその来歴の説明。
ドキュメンタリーかと思った。

その後、兄弟の価値観の違いによるネチネチした会話が、これまた延々と。

アマゾンは小売店を潰すから悪だとか、潰したのは大型店だとか、
買ったものをいきなり冷蔵庫に入れるとコロナに感染するリスクがあるとか、だったら乳製品が傷んでもいいのかとか、
ダンボールは外に4時間おいとけばウイルスは死滅するとか、誰が言ってるんだと聞いたら怪しいネット情報でしかないとか、

皮肉は効いてるけど、
ケンカ寸前の問答が、延々と執拗に続く。

他にも、脈絡も意味もないからリアリティがある、というような会話だらけ。

フランス語の勉強にしかならんじゃないの、
マジで観るのやめて帰ろうか、
と思った。

それがなぜか、いつのまにか気にならなくなり
(慣れた? いやおそらく、笑いどころが散りばめられてきたから)

それどころか、だんだん面白くなって、
兄ポールの娘さん可愛く、
枕草子と源氏物語が唐突に出てきたりするのも可笑しく、

最後は、
面白かった、最後まで観てよかった、と
笑顔で思ったのでありました。

島田庵