劇場公開日 2024年8月23日

「本物になれない」箱男 ayakanさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0本物になれない

2024年9月7日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

難しい

永瀬正敏さん、浅野忠信さんの共演と聞いて
「この組み合わせは、懐かしいなぁ」と思いました。
それもそのはず・・・
本作は、1997年に映画制作が決まったが撮影できず、
27年の時が過ぎ、ようやく実現した企画。
この頃と言えば「鮫肌男と桃尻女」や「PARTY7」
TVドラマでは「私立探偵 濱マイク」などの作品が作られ、
二人も良く共演されていましたね。
なので、ストーリも変わった感じだろうなぁと思い映画館へ。

予想通り、難しすぎました(泣)
「単なる変態映画やん。。。
 でも、どこか面白く、ついつい入り込んでしまう」

箱男(わたし)に永瀬正敏さん、
ニセ医者の浅野忠信さん、
ヒロインの葉子に、白本彩奈さん、
軍医の佐藤浩市さん
この4者を中心に、
摩訶不思議な物語が展開されます。

箱男は、段ボールを頭から被り、
一方的に世界を覗き見る事で、
完全な孤立、完全な孤独を得て、
社会から完全に独立した存在となります。

そこへ、
箱男の存在を乗っ取ろうとするニセ医者、
完全犯罪に利用しようと企む軍医、
箱男を魅了する謎の女・葉子が現れ、
箱男の静寂の時間が一変します・・・

箱男が移動する時のコミカルな動きと、
箱男と贋箱男のバトルは、
可愛さが出ており笑えますね。

なぜ、箱男が生まれたのか、
箱男の世界には何があるのか、
謎は多いですが、
時折、箱男は「本物にはなれない」とつぶやきます。

箱男の”わたし”は、初代ではないため、
❝本物の箱男❞になるために奔走しているようでした。

現代は、ネットを通じて、
誰もが匿名で情報発信できる社会であり、
スマホやPCの画面を見ている風景が
まるで、箱男が覗き見ているようだ
との考察もありますが、

本作を通じて、
「本物とは・・・
  オリジナルを超える存在になる?
  オリジナルの想いを理解できる?」
ことなのか?
そんな事を考えさせられる作品でした。

ayakan