「箱男になりたいという気持ちが、今一つ理解できない」箱男 tomatoさんの映画レビュー(感想・評価)
箱男になりたいという気持ちが、今一つ理解できない
支離滅裂な物語だが、これは、箱男がノートに書き留めた「妄想」という解釈でいいのだろうか?
ただ、写真家が箱男になった経緯や、謎の女性の経歴や、ニセ医者と軍医の関係性などは分かりやすく描かれているし、箱男のモノローグや画面に映し出される文字などで、その心象等も逐一説明されるので、それほど「難解」という印象は受けなかった。
箱男の動きは予想外に機敏だし、箱男同士のバトルアクションも、わざわざ箱を被って戦うところがバカバカしくて、人を食ったような面白さがある。
その一方で、肝心要の箱男が、それほど魅力的には感じられず、箱男に執着し、本物の箱男になろうとする男たちの話に、今一つ入り込むことができなかったのも事実である。
確かに、存在を消し、完全に匿名で、外の世界を覗き見るだけの存在というのは、一つの理想なのかもしれないが、箱を被って動き回っていたら、かえって目立ってしまうだろうし、何よりも狭いし、暗いし、暑苦しいし、そうした環境が苦手な者にとっては、苦行でしかないだろう。
それよりも、どうせ令和の時代に制作したのであれば、時代設定も現代に移し替えて、映画を見ている観客ではなく、匿名のSNS利用者の無責任さを糾弾するようなエンディングにしてもよかったのではないかと思えるのである。
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