「20年後に蠍座で回顧してみろ!」箱男 t2lawさんの映画レビュー(感想・評価)
20年後に蠍座で回顧してみろ!
安部公房原作。かつての『日劇文化』の跡のシャンテシネマ劇場なので、まあ間違ってはないだろうが、70年代以降のATG作品のような雰囲気。蔵原惟繕や松本俊夫や吉田喜重の難解トリオみたいに、作家性が強すぎて、観客おいてけ堀の『芸術的なのをありがたがれ』というレトロ感。そんな前時代のデジャヴと目眩を覚える作品だった。早い話が、独りよがりでワケのわからないモノ。かつては、安部公房は勅使河原宏の監督作品というイメージだったが、当時から前衛を拗らせていた印象。まったくもって、頭上に?マークを光らせて新宿文化劇場を退出した無数の観客たちの連帯、あの頃へフラッシュバック。何年か前にルイ・マルの「死刑台のエレベーター」を日本でリメイクして、ヤラカシちまったどん底駄作があったが、同じようなイメージだな。
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