ドリーム・シナリオのレビュー・感想・評価
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もう刑事(ケイジ)ものは無理かも知れないけれど
何故か多くの人々の夢の中に登場している事が知られてネット上で急に人気者になっていい気になっていたら、今度は「あいつのせいで夢の中で酷い目に遭った」と一転してバッシングされ始めるという理不尽な巻き込まれ型心理ホラー物語です。同じように理不尽な不幸に見舞われる男を描いた『ボーはおそれている』のアリ・アスターがプロデューサーを務め、SNSの評判に人間性が支配される『シック・オブ・マイセルフ』のクリストファー・ボルグリが監督であると聞けば、「なるほどなぁ」とこの居心地の悪いお話も腑に落ちます。
そして、この主人公の男を演じるニコラス・ケイジのショボさがいいんです。決して無垢で善良な市民という訳でなく、ずるさやセコさもある小市民的味わいが絶妙。実生活での浪費が祟って借金を背負ったせいか、彼はこの10年近くは酷いB級映画にばかり出演しており、それはそれでファンもおられた様ですが、僕はちっとも面白くありませんでした。ところが、この2~3年、漸く骨のある映画に帰って来ました。もう刑事(ケイジ)もののアクションは無理かもしれませんが、渋さとみじめさが滲み出る男としてスクリーン上で頑張って欲しいです。
人間はそこまで愚かではないと信じたい
前半は眠気との戦いになってしまい、ドリーム・シナリオに突入するところだった。
現実では絶対に起こらないであろう出来事や葛藤が永遠と続くので、どうしても話に興味が持てず、途中までは「どうでもええわ」となってしまった。
この映画の中にはいろいろな人の夢のシーンが出てくるが、そういうシーンが出てくるたびになんか違和感を感じてしまい、何故だろうと考えた結果、そもそも夢ってそれを見ている人の主観視点で描かれるもののはずなのに、この映画に出てくる夢シーンは全て第三者視点で描かれているから違和感があるんだ、みたいなどうでもいいことを映画を観ながら考えてしまった。
途中、唐突に性的なシーンが出てくるが、女性の言っていることが意味不明すぎてついていけない。
ポールが家族を大事にする男のように描かれていたが、そもそも妻と娘が二人いて女性の家について行ってんじゃねえよと思った。
ポールが人々の夢の中で悪さをするようになってから、周囲の人間がポールに対して差別的な言動をとるようになるが、ここが個人的に受け入れがたかった。
現実のポールは何も悪いことをしていないのに、「ポールに夢の中で酷いことをされた」というポールからすれば理不尽極まりない理由で、非人道的な行動を取る人なんているのだろうか?
人間はそこまで愚かではないと信じたい。
この場面を観ていて、SNS上でデマといっても差し支えないような真偽不明な風説を流布された結果、何も悪いことをしていないのに差別的な扱いを受け続ける川口のクルド人のことを想起した。
この映画で良いと思ったのは、差別的な扱いを受けるポールが世間に屈せず、立ち向かう姿。
車椅子の人が映画館の入場を拒否され、それに文句を言ったらネット上で誹謗中傷の雨嵐、それでも映画館に要望をを伝え続けた結果、映画館側が謝罪し、車椅子の人でも鑑賞しやすいシステムを構築、そんなニュースを思い出した。
車椅子の人が他の人と同様のサービスを求めるのは当然のことだと思うし、何も悪いことをしていないポールが他の人と同じ権利を求めるのも当然のことだと思う。
ずーっと可哀想なニコケイ!
収拾がつかない旅は突然に
自分アピールを焦るポール。
しかし彼、まだ具体的には何もしていないらしい。
そう…まずは、何もしていない彼の欲と現実の差にちょっとニヤッとし、ドキッとしてしまうのだ。
そしてその狭間にひょこっと産み出された思い入れの副作用のように奇想天外な怪奇現象が一気に増え始め、
〝何もしていない〟彼が〝何もしないうちに〟シュールな誰かの夢の世界を〝何もせず〟歩き回り、ちょっとの〝天〟にうかれ、これでもかの〝地〟に落ち踊らされ続ける。
それなりの社会的居場所も家庭もある男に起きた悲劇の設定から面白いのだが、だんだんエスカレートするみんなの頭のなかの〝自分じゃない自分〟は得体が知れずおそろしいし家族にも悪影響が出てくる。
しかし彼は思いのほか頑張り屋。
夢の話に、真面目に対処する様子が気の毒でちょっと同情してしまう。
気楽に観れるかと思っても、そうはいかないスパイシーさもある社会風刺アリ・アスターの風味をニコラス・ケイジが絶妙な表情でサーブする珍味的逸品。
映画ならではの不思議な災難の世界に浸りつつ、いつの間にか収拾なつかないし旅にでる性質のSNSの扱いにはうんと気をつけなきゃと思った。
スリラーなのかと言われると謎
不気味さと笑い
夢とは理不尽なもの?
ごく平凡な大学教授ポール・マシューズ(ニコラス・ケイジ)はある時から他人の夢によく現われるようになる。
次第に多くの人々の夢に出て来るようになり、一躍話題となり彼を取り巻く環境は大きく変わる。
SNSでシェアされテレビのニュースになり……だが、人々が見る夢の中のポールの行動が次第に変化していき――
誰でも夢の中に家族や友人、有名人などが出て来たことがあるだろう。
また、他人の夢の中に自分が出て来ることもありえる。
それらは時に理不尽な行動をとる。
だが、他人の夢に出て来た自分が何かをしたとしてもそれに対してとやかく言われてもどうしようもない訳で。
『ミッドサマー』のアリ・アスターが制作陣にいるので、そういう感じの映画だと思ってもらえれば。
見た後スッキリする映画ではなく、なんとなくモヤモヤしてしまう後味で私はあまり好みではないかなぁ。
突飛な設定は面白いが、理屈もオチも無いのは・・・
予告編が面白そうだった。 ニコラス・ケイジの名演を期待するに十分だったのだけど・・・
【物語】
ポール・マシューズ(ニコラス・ケイジ)は平凡な大学教授。 ある朝娘から「怖い夢を見た。お父さんは助けてくれようともせず、傍観しているだけだった」と不満そうに伝えられる。 「そんなことをするはずない」と思いばがら、「夢の中での出来事を非難されても・・・」と訴えてその場はそれで終わる。
ところが、その後大学の学生の間でも同じように「悪夢にポールが登場したが、ポールは傍観しているだけだった」という話を次々聞かされる。やがて、大学内に留まらずポールの夢は世界に広がり、世界中の人の夢に現れるようになり、ポールは世界的有名人になる。 しかし、やがて夢の中のポールは「何もしない」から人々に危害を加えようになり、凶暴化し始める。
現実世界では何もしていないにも関わらず、ポールは憎まれ始め、現実世界で悪夢のような日々を過ごすことになる。
【感想】
正直言って、相当ガッカリ。
ニコラス・ケイジは期待通り、いい演技をしていたのだが、ストーリーがどうにも。 「自分が見ず知らずの他人の夢に現れる」という設定は斬新であり、面白いと思う。 しかし、その大事な設定に関して、何の理屈もオチも用意されていなかった。
SF的、学術的(っぽい)理屈を期待していたわけではないのだが、中盤以降はこれはどういう結末となるのかと思いながら観ているわけで、いずれにしても最後には「ハハ、それはそういうことだったか」的なオチは用意されているものと思っていた。 「あるある」ではなくて、普通にはあり得ない設定だけに、「運が悪い」程度の扱いで何の説明も無いのはどうかと思う。
最初は、この特異な設定が面白いと観ていたが、中盤を超すあたりでは主役ポールが身勝手に見えて来てイライラして来た。不当な非難に腹が立つ気持ちはわかるけど、「自分には何の責任も無いなら周囲の人の気持ちは無視して良い」とはならんだろうと。 それも有って、最後は笑って終われるか、ストンと腑に落ちる結末が欲しかった。
最後は夫婦関係が主題にすり替わってしまったかのようで、
「それ、ちょっと違う」
という感じで、スッキリしないまま席を立つことになった。
ホントに怖い・・・
夢の中のニコラス・ケイジが暴れまわる映画ではない!
予告や宣伝を触りだけ見て興味を持ちましたが、てっきり夢の中のニコラス・ケイジが暴れまわり、その怪奇現象が現実にも伝播し始めて…という話だと思っていましたが全然違って勝手に肩透かしを食らいました。
今作は夢の中に現れるというファンタジー?ホラー?要素こそありますが、それ以外は地に足を付けて物語が進んでいきます。
パッとしない中年男性(ていっても大学教授の時点で成功してないか?)の悲哀がニコラス・ケイジの名演で表現されててそこはGoodですが、主人公の行動が地に足つけすぎて非常にモヤッとします。
なんでそんなことしちゃうんよ…でも自分が当事者になったら確かに納得出来ないよな…うん…と思ってしまう。
逆に監督の術中にハマってるかも。
ニコラス・ケイジの出る映画って脚本が素直じゃないやつ多くて、役者として凄いなと思っても映画全体は面白い!と手放しで見れるやつ少なくないですか…?
A273 ワタシ女の子を前に緊張するとヘェこくんです。
2024年公開
前半の夢の共有はなるほど、なるほどと面白い。
中盤の夢の共有はあーそう行くわなと納得。
SNSと広告という今風の展開もイイ。
その影響に家族全員振り回されるのもそのとおり!
さらに本人の教授としてのプライドとそこは一般人の
舞い上がり感を足して二で割ったところを
振り切ったニコラスケイジが名演。
ここまではA24凄い!
しかしオチは正直わかりませんでした。
夢の商品ってそんなにバズるのかなぁ?
最後奥さんとの関係もイマイチわからんかったし
語るところは語り尽くしましたと幕引き。
期待感膨らまして後半低調。
2023年製作てことはちょっと紆余曲折あったんですかね。
60点
鑑賞 2024年12月1日 イオンシネマ草津
配給 クロックワークス/A24
ドリーム・シナリオ
理不尽なのに、クスッと笑っちゃう
夢をモチーフにしたシュールなスリラーコメディ
自作の本を出版するのが夢のごく普通の大学教授ポール(ニコラス・ケイジ)がある日突然世界中の何百万人もの夢に現れ、一躍有名になるという荒唐無稽な話。
夢の中に現れるも、メインではなくそこにいるだけで何もしないというのが特徴。
ところが、事態は思わぬ展開を見せポールは何もしていないのに大きな騒動に巻き込まれていく。
ちょっと情けない普通の中年大学教授役にニコラス・ケイジがピタリとはまる。
何百万人の夢の中にポールが現れ、本人が知らぬところでやらかしている、というアイデアが面白い。
最初は有名人になることに浮かれ、自分の本の出版に繋げようとしたりする俗人的な情けなさも妙にリアル。
一方で本人が知らぬところで拡散するフェイクニュースやSNSの恐ろしさが描かれる。
スリラーなのかコメディなのか交錯する展開は観るものを選ぶかもしれない。
「ミッドサマー」のアリ・アスターがプロデュースに関わっている。
今作同様のアリ・アスタープロデュース、クリストファー・ボルグリ監督、A24製作の次回作が準備中とのことなので楽しみ。
現代社会風刺
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