「人間はそこまで愚かではないと信じたい」ドリーム・シナリオ おきらくさんの映画レビュー(感想・評価)
人間はそこまで愚かではないと信じたい
前半は眠気との戦いになってしまい、ドリーム・シナリオに突入するところだった。
現実では絶対に起こらないであろう出来事や葛藤が永遠と続くので、どうしても話に興味が持てず、途中までは「どうでもええわ」となってしまった。
この映画の中にはいろいろな人の夢のシーンが出てくるが、そういうシーンが出てくるたびになんか違和感を感じてしまい、何故だろうと考えた結果、そもそも夢ってそれを見ている人の主観視点で描かれるもののはずなのに、この映画に出てくる夢シーンは全て第三者視点で描かれているから違和感があるんだ、みたいなどうでもいいことを映画を観ながら考えてしまった。
途中、唐突に性的なシーンが出てくるが、女性の言っていることが意味不明すぎてついていけない。
ポールが家族を大事にする男のように描かれていたが、そもそも妻と娘が二人いて女性の家について行ってんじゃねえよと思った。
ポールが人々の夢の中で悪さをするようになってから、周囲の人間がポールに対して差別的な言動をとるようになるが、ここが個人的に受け入れがたかった。
現実のポールは何も悪いことをしていないのに、「ポールに夢の中で酷いことをされた」というポールからすれば理不尽極まりない理由で、非人道的な行動を取る人なんているのだろうか?
人間はそこまで愚かではないと信じたい。
この場面を観ていて、SNS上でデマといっても差し支えないような真偽不明な風説を流布された結果、何も悪いことをしていないのに差別的な扱いを受け続ける川口のクルド人のことを想起した。
この映画で良いと思ったのは、差別的な扱いを受けるポールが世間に屈せず、立ち向かう姿。
車椅子の人が映画館の入場を拒否され、それに文句を言ったらネット上で誹謗中傷の雨嵐、それでも映画館に要望をを伝え続けた結果、映画館側が謝罪し、車椅子の人でも鑑賞しやすいシステムを構築、そんなニュースを思い出した。
車椅子の人が他の人と同様のサービスを求めるのは当然のことだと思うし、何も悪いことをしていないポールが他の人と同じ権利を求めるのも当然のことだと思う。