ソウルの春のレビュー・感想・評価
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1979年、ある闘い
「ソウルの春」を観る。時系列で「「KCIA南山の部長たち」と「タクシー運転手」の中間。とにかく全斗煥を演じたファン・ジョンミンが素晴らしくて、どれくらい素晴らしいかといえば、町で会ったら、「てめえ、このクソファシスト野郎が!」と胸ぐらを掴みそうになるくらい素晴らしい。
そして、あくまで、フィクションという位置付けなので、アクション映画としても素晴らしくて、勝敗が分かっていても、「あっ、これ、勝てるかも!」「こいつ裏切りやがった!」と盛り上がる。結末は当然もやもやするんだけど、そんな人は続けて「1987、ある闘いの真実」をどうぞ!
まあ、あれはあれで辛かったりするが。
史実とはいえ結末にビックリ!
話の流れは理解できるんだけど、誰がどれくらい偉いのかとか誰より偉いのかとか、いろんな組織間の関係とか、よく分からないまま見ていました。
ただ、善と悪は明確だったので、話としては面白かったです。が、ラストはビックリ!!
久しぶりの胸くそ映画でした。
骨太な歴史劇
朴正煕による18年間の軍事独裁政権後の、全斗煥による軍事クーデターに至るごく短い期間(メインは1979年12月の一夜) を描いた骨太な歴史劇。
結果がどうなるかは知っているのに二転三転する情勢に本当にハラハラするし、欲と執着に正義が敗れ去る展開も残念ながら納得させられた。なりふり構わず、欲も隠さず、嘘でもなんでも手段を選ばない相手に正論がいかに無力かというね…
そしてこれこそまさに「おじさんの詰め合わせ」ながら、みんな実に良い。なんといっても主役の2人、特に全斗煥を演じたファン・ジョンミンの熱演がスゴい。彼ほど、欲望に忠実な悪党を魅力的にみせることが出来る役者はいないね…
1980年代以前は日本映画でも「日本のいちばん長い日」とか226ものとかいろいろあった気がするが、もうそういった作品が出来るような体力はないよね…
その点韓国映画はスゴい。
朴正煕政権を終わらせた暗殺を描いた「KCIA 南山の部長たち」。その後の全斗煥クーデターを描いた本作。全斗煥による民衆弾圧である光州事件を描いた「タクシー運転手」。韓国民主化への最後の戦いを描いた「1987」と最近製作された映画だけで韓国の現代史の流れを理解できるからね。
大事なことだと思う。歴史修正主義にまみれた日本から見ると、実に羨ましい…
クーデターの内幕を丁寧に描いた力作。緊迫に満ちた2時間22分。飽きさせず最後まできっちりみせる。
ファン・ジョンミンがチョン・ドゥファンを演じる。韓国の名前は日本では原語発音をカタカナで表記することになってしまったのでどうも分かりにくいね。馴染のある表記だと全斗煥です。士官学校の同期生でチョンの後で大統領になるノ・テウ(盧泰愚)も重要な役割で出てきます。1980年12月12日のいわゆる粛軍クーデターを描いたものですが、79年に暗殺されたパク・チョンヒ大統領以外は別名になっている。実話に基づいており登場人物には全てモデルというか実在人物が符合する。時代としては「南山の部長たち」(パク大統領暗殺)と「タクシー運転手」(光州事件)のちょうど間に位置するがそういえばこの2本の映画もモデルの名前を変えたフィクション扱いの作品だった。
フィクションにしたほうがおもいきった表現ができるからでしょう。粛軍クーデターの頃の関係者にいまさら忖度する必要があるとは思えないが、とはいえ史実にがんじがらめになることなく人物の性格づけをしたりそれぞれの思惑を掘り下げて描くことがより自由にできるのだろうと思う。また参謀総長公邸や特殊戦部隊本部などでの銃撃戦も史実よりもやや規模を大きくして描かれているようにもみえる。要するにドラマチックなのである。
そして、この映画は、クーデターの内幕、推移を丁寧になぞることに加え、登場人物をきちんと描き分けることによってドラマとしても深みのある実に見応えのある作品となっている。チョン・ウソン演ずるところのイ・テシン将軍がややヒロイックに描かれすぎている嫌いはないとはいえないが。
民主化という切り口から民衆の姿がみえないとの批判もあるようだが朝鮮近現代史の中ではこれは陸軍内部の抗争に過ぎない。
ただチョン・ドゥファンという怪物に権力を集中させてしまったターニングポイントではあった。
この後、光州事件が起こり、韓国の民主化は20年は遅れることとなる。一方で、チョン・ドゥファンは民主化後の逮捕、裁判、収監を乗り越え、2021年に90歳で亡くなるまで生き延びた。
若い世代には、ぜひ観て欲しい映画
映画のストーリー性と俳優さんたちの演技面では、4つ星。だけど、日本で生まれて、自覚もしてないまま、民主主義と自由の恩恵を享受している若者に全身全霊で強くお勧めできる傑作だから5つ星に判定する。以上。
野望と信念の闘い
めちゃくちゃ面白かった!
描かれているのは、たった数日間なのに、想像もしない展開が目まぐるしく起こるのでまさに固唾を呑んで鑑賞。
元々厳しく統率されている軍の中という狭い範囲内で、司令塔がおかしくなるとこんな簡単に大混乱に陥る恐怖を味わった。
信念を曲げずに国を守ろうとするイ・テシンは、チョン・ウソン氏が演じるのでまたヒーロー度が増す。
韓国の軍事政権時代について全く知識がなかったのだけど、権力が軍事力とセットだと即命の奪い合いになって話し合いにならなんのだなと思った。
アフタートークで歴代大統領がノ・ムヒョン大統領までは軍の息がかかっていたというのをザーッと先生がおさらいしてくださったのだけど。
ものすごい最近までそんな感じだったなんて何一つ知らなかった!
韓国といえばエンタメ文化だけど、それも軍政府の時代には規制が厳しく今ほどの広がりはなかったとのこと。
話が短い間に目まぐるしく二転三転するので10分でもトイレに行けない感じなので、ご注意ください。
歴史のお勉強しなおしてからもう一度観たい。
クーデターだね
2024年7月28日
映画 #ソウルの春 (2023年)鑑賞
面白かった。形勢が2転3転する中、軍人としての矜恃をもつ男と権力に取り憑かれた男の戦い
邦題はソウルの春ですが、原題も内容も #粛軍クーデター です
この手の韓国映画はハズレがないですね
@FansVoiceJP さん試写会ありがとうございました
暴君ほどよく眠る
1979年10月、独裁者とも言われた韓国大統領が暗殺されたのを機に、新独裁者となるべくクーデターを決行した保安司令官チョン・ドゥグァンと、それを阻止しようとする首都警備司令官イ・テシンとの攻防戦。ドゥグァンは元大統領の全斗煥(チョン・ドゥファン)がモデルである事からも、本作は実際に起きた事件にフィクション要素を加えたメタフィクションとなっている。
韓国の俳優についてはホントに知識ゼロなので(テシン役を『スティール・レイン』で大統領を演じた俳優だと後で知ったぐらい)、申し訳ないが出てくるキャストが皆同じ顔に見えてしょうがないし、名前を覚えるのだけでも大変だし、ランニングタイムも長めなので観る集中力も途切れそうになった。
そんな中でも、顔の分別がハッキリ付くドゥグァンの暴君ぶりが全てをかっさらっている。なんでもモデルとなった全斗煥は本国でも史上最悪の大統領と云われているらしく、その描き方は正に『悪い奴ほどよく眠る』だ。
架空の人物にしているとはいえ、実在した政治家を題材に映画を作れる韓国は実に度量が広い。観ながら「日本に置き換えたらどの首相を映画化しやすいかな…」と考えるも、最悪な首相として思いつく輩はいっぱいいるから困ったものだ。
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