ソウルの春のレビュー・感想・評価
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字幕を追うのに忙しく
1979年12月12日の粛軍クーデターをクライマックスとする韓国軍内部での武装蜂起の顛末を描く緊迫したドラマ。史実をモチーフとしたフィクションであると冒頭にあるが、いやもうそら独裁者・全斗煥の悪事の発端を告発する意図があるのは明白。だから邦題のムード(つまり朴正煕暗殺事件から光州事件に至る民主化への期待と挫折という「ソウルの春」本来の意味からの乖離)が気になるけれど、まあキャッチーだし遠からずという判断か。英語のタイトルはズバリ『12.12: The Day』。こっちのが良くない?
特殊メイクというファン・ジョンミン演ずるヴィランの後退しかけたおでこが全斗煥そっくり。憎々しい演技も素晴らしい。ハナ会の描かれ方がとにかくバカっぽくて、ある程度史実に基づいているのだろうけど、こんな奴らに国を任せてなるものかと思わせる演出、ちと過剰か。
それはそうと、セリフの中に人名と肩書きがやたら出てきて、しかも普段見慣れない役職名や階級名が頻出するもんで字幕を追うのに四苦八苦する。政治ドラマにはよくあることだけど、え、誰?どっちが上?ってなる。ともあれサスペンスフルだしカメラもうまいし上々の一級品と言えよう。
関係ないけど、京都国際の甲子園優勝おめでとう!
胸糞悪いラスト 史実の凄さ。見る価値はあります。
今年観た作品の中で文句なしナンバーワン
力が正義
かなりの知識が求められるので注意。前後を扱ったVODをみてからのほうがよさそう。
今年300本目(合計1,392本目/今月(2024年8月度)25本目)。
※ (前期)今年237本目(合計1,329本目/今月(2024年6月度)37本目)。
この「ソウルの春」はある程度「長い」出来事ですが、その中の「粛軍クーデター」に焦点が当てられています(他の部分は補足字幕で多少出る程度)。
実際に起きた事件であることは変わりはないものの、主要人物以外は全て架空名に変わっているため把握がしにくいので事前にかなりの知識を持っていないと詰まるのではないかな…といったところです。韓国現代史を象徴する一つの事件について、できる限りどちらかの主張のみを取り入れることなくできるだけ平等に描いたように思えた点は良かったところです。
なお他の方も触れられているように、「南山の部長たち」(この映画の前の出来事)、「タクシー運転手~」(この事件のあとにおきた光州事件を扱う)を見ておくとかなり有利ではないかなといったところです。どちらもVODではあったと思います。
法律系資格持ちなので、この(歴史用語としての)「ソウルの春」「粛軍クーデター」から何が起きたかについて軽く触れておこうと思います。
韓国では何度か軍事クーデタがありましたが、「ソウルの春」においては、「戦争をやめよう」という学生運動が盛んとなりました。日本でも学生運動はみられますが、韓国ではこの出来事に対して学生たちが結託して学生運動を起こしたのが最初と言われます。
また、同じように、こうした軍事クーデタの勃発と付随して起きる労働市場の混乱から生じた、日本でいう「労働デモ」(労働運動)もこのころからです。「内部戦争よりも安定した状態で働きたい」という趣旨でのデモですね。
また、このクーデタはその後光州事件につながりますが、光州事件は麗水・順天事件と同じく韓国軍が国民に手をかけた出来事であり、今でもその被害が伝えられているくらいです(済州4.3事件は、その当時に韓国はまだ成立していなかったので微妙。ただ、広い意味で韓国軍による事件であると説明されるのが普通)。こうした「軍による一般人への攻撃」がしばしば韓国史に見られ、それがまた現代韓国における地域差別をうむ目的となりました(麗水順天事件、光州事件は行ってしまえば「思想弾圧」の事件であったため)。
また、韓国はこのようにクーデタが何度も起きた歴史を持ち、その都度韓国憲法は何度か変わっています(ただしくは改正)。とはいえ、極端に変な改正がされたことはなく、日本は隣国でもあったため、日本の最高裁判例等も参考にしながら、日本では判例法理で認められるようになった「環境権」を明文化するなど憲法改正が(こうした事情により)多い韓国ではあることが特徴です。
採点に関しては特に気になる点までないのでフルスコアにしていますが、VODシステムである韓国近代史を扱う作品(南山の部長たち、タクシー運転手など)を見ているとかなり理解の差が出るので検討されることをお勧めします。
無能な指導者は組織を破壊する元凶だ
全斗煥って,ほぼ名前だけしか知らなかったけど、 こんな始まりだった...
全斗煥って,ほぼ名前だけしか知らなかったけど、
こんな始まりだったんですね
光州事件の時の政府って、クーデターで生まれた政府だったんですね
朴槿恵が大統領になった時に紹介されていたお父さんって、
知日家ってくらいだったけど、独裁政権してた人なんですね
少ししかない私の韓国の知識が少しずつ繋がりました
それにしてもすっごい映画だった
韓国の現代史を学んだ気分
演出とはいえタバコ吸い過ぎ
傑作
それは45年前のこと
1971年生まれの私にとって、彼を知ったのは韓国の大統領だった時代。当時はメディアや教科書でも「ぜん・とかん」と言う日本語読みが一般的だったのを、84年の来日の際に「チョン・ドゥファン」と現音読みするようとの要請があったとニュースになり、またその後割と早く現音読みが一般的になるように変わっていったことが記憶に残っています。
なお、本作でファン・ジョンミンが演じる役名は「チョン・ドゥグァン」ということで、実際にあった12.12軍事反乱(或いは粛軍クーデター)をモチーフにして作られたフィクションです。役者が演じることで(実話とは異なり)かなりドラマチックな演出もあるだろうと思われますが、鑑賞をきっかけに実際の事件に興味をもち、本当のことについて知りたくなるという意味では、充分観る価値のあるがある映画だと思います。
と言うことで、公開初日の午前回に角川シネマ有楽町へ。ファン・ジョンミン×チョン・ウソンと言うこともあり、平日の割には結構入っていたと思います。
なお前文で知ったような雰囲気を出していますが、実際には鑑賞前まで「知識ほぼゼロ」で挑んだ私。正直言えば前半ちょっと付いていけてなかったと思います。まぁ、展開が早くて顔と名前を覚えられない。。とは言え、韓国の俳優さんたちはキャラが強めな方が多いため、各人の「旗色」が判り始めるとようやく理解が追いつき、そしていよいよ12月12日となると最早この「怒涛の展開」×「シーソーゲーム」の虜。あくまでフィクションとは言え、まさかと思いつつ「どちらが勝つのか?」固唾をのんでしまうほど。或いは、ついついヒーロー映画のように新手を期待してしまったりと、終盤はもはや感情移入が止まりません。
まぁ、韓国映画に対してよく言われることですが、ここまで描いてくれるからこその面白さ。ただ、それが出来るのは「こういう過去」が割と最近まであったことへの反動でもあるような気もします。勿論、報道や教育で「真実」を伝えることは大事ですが、映画と言うエンターテインメントから「真実」へ興味を持てるほうが吸収力高く、そして記憶に残りやすい。韓国の文化政策「支援はするが、干渉はしない」、もっともっと見習わなければいけませんね。堪能しました。
1979年、ある闘い
史実とはいえ結末にビックリ!
骨太な歴史劇
朴正煕による18年間の軍事独裁政権後の、全斗煥による軍事クーデターに至るごく短い期間(メインは1979年12月の一夜) を描いた骨太な歴史劇。
結果がどうなるかは知っているのに二転三転する情勢に本当にハラハラするし、欲と執着に正義が敗れ去る展開も残念ながら納得させられた。なりふり構わず、欲も隠さず、嘘でもなんでも手段を選ばない相手に正論がいかに無力かというね…
そしてこれこそまさに「おじさんの詰め合わせ」ながら、みんな実に良い。なんといっても主役の2人、特に全斗煥を演じたファン・ジョンミンの熱演がスゴい。彼ほど、欲望に忠実な悪党を魅力的にみせることが出来る役者はいないね…
1980年代以前は日本映画でも「日本のいちばん長い日」とか226ものとかいろいろあった気がするが、もうそういった作品が出来るような体力はないよね…
その点韓国映画はスゴい。
朴正煕政権を終わらせた暗殺を描いた「KCIA 南山の部長たち」。その後の全斗煥クーデターを描いた本作。全斗煥による民衆弾圧である光州事件を描いた「タクシー運転手」。韓国民主化への最後の戦いを描いた「1987」と最近製作された映画だけで韓国の現代史の流れを理解できるからね。
大事なことだと思う。歴史修正主義にまみれた日本から見ると、実に羨ましい…
クーデターの内幕を丁寧に描いた力作。緊迫に満ちた2時間22分。飽きさせず最後まできっちりみせる。
ファン・ジョンミンがチョン・ドゥファンを演じる。韓国の名前は日本では原語発音をカタカナで表記することになってしまったのでどうも分かりにくいね。馴染のある表記だと全斗煥です。士官学校の同期生でチョンの後で大統領になるノ・テウ(盧泰愚)も重要な役割で出てきます。1979年12月12日のいわゆる粛軍クーデターを描いたものですが、79年に暗殺されたパク・チョンヒ大統領以外は別名になっている。実話に基づいており登場人物には全てモデルというか実在人物が符合する。時代としては「南山の部長たち」(パク大統領暗殺)と「タクシー運転手」(光州事件)のちょうど間に位置するがそういえばこの2本の映画もモデルの名前を変えたフィクション扱いの作品だった。
フィクションにしたほうがおもいきった表現ができるからでしょう。粛軍クーデターの頃の関係者にいまさら忖度する必要があるとは思えないが、とはいえ史実にがんじがらめになることなく人物の性格づけをしたりそれぞれの思惑を掘り下げて描くことがより自由にできるのだろうと思う。また参謀総長公邸や特殊戦部隊本部などでの銃撃戦も史実よりもやや規模を大きくして描かれているようにもみえる。要するにドラマチックなのである。
そして、この映画は、クーデターの内幕、推移を丁寧になぞることに加え、登場人物をきちんと描き分けることによってドラマとしても深みのある実に見応えのある作品となっている。チョン・ウソン演ずるところのイ・テシン将軍がややヒロイックに描かれすぎている嫌いはないとはいえないが。
民主化という切り口から民衆の姿がみえないとの批判もあるようだが朝鮮近現代史の中ではこれは陸軍内部の抗争に過ぎない。
ただチョン・ドゥファンという怪物に権力を集中させてしまったターニングポイントではあった。
この後、光州事件が起こり、韓国の民主化は20年は遅れることとなる。一方で、チョン・ドゥファンは民主化後の逮捕、裁判、収監を乗り越え、2021年に90歳で亡くなるまで生き延びた。
野望と信念の闘い
めちゃくちゃ面白かった!
描かれているのは、たった数日間なのに、想像もしない展開が目まぐるしく起こるのでまさに固唾を呑んで鑑賞。
元々厳しく統率されている軍の中という狭い範囲内で、司令塔がおかしくなるとこんな簡単に大混乱に陥る恐怖を味わった。
信念を曲げずに国を守ろうとするイ・テシンは、チョン・ウソン氏が演じるのでまたヒーロー度が増す。
韓国の軍事政権時代について全く知識がなかったのだけど、権力が軍事力とセットだと即命の奪い合いになって話し合いにならなんのだなと思った。
アフタートークで歴代大統領がノ・ムヒョン大統領までは軍の息がかかっていたというのをザーッと先生がおさらいしてくださったのだけど。
ものすごい最近までそんな感じだったなんて何一つ知らなかった!
韓国といえばエンタメ文化だけど、それも軍政府の時代には規制が厳しく今ほどの広がりはなかったとのこと。
話が短い間に目まぐるしく二転三転するので10分でもトイレに行けない感じなので、ご注意ください。
歴史のお勉強しなおしてからもう一度観たい。
クーデターだね
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