「それは45年前のこと」ソウルの春 TWDeraさんの映画レビュー(感想・評価)
それは45年前のこと
1971年生まれの私にとって、彼を知ったのは韓国の大統領だった時代。当時はメディアや教科書でも「ぜん・とかん」と言う日本語読みが一般的だったのを、84年の来日の際に「チョン・ドゥファン」と現音読みするようとの要請があったとニュースになり、またその後割と早く現音読みが一般的になるように変わっていったことが記憶に残っています。
なお、本作でファン・ジョンミンが演じる役名は「チョン・ドゥグァン」ということで、実際にあった12.12軍事反乱(或いは粛軍クーデター)をモチーフにして作られたフィクションです。役者が演じることで(実話とは異なり)かなりドラマチックな演出もあるだろうと思われますが、鑑賞をきっかけに実際の事件に興味をもち、本当のことについて知りたくなるという意味では、充分観る価値のあるがある映画だと思います。
と言うことで、公開初日の午前回に角川シネマ有楽町へ。ファン・ジョンミン×チョン・ウソンと言うこともあり、平日の割には結構入っていたと思います。
なお前文で知ったような雰囲気を出していますが、実際には鑑賞前まで「知識ほぼゼロ」で挑んだ私。正直言えば前半ちょっと付いていけてなかったと思います。まぁ、展開が早くて顔と名前を覚えられない。。とは言え、韓国の俳優さんたちはキャラが強めな方が多いため、各人の「旗色」が判り始めるとようやく理解が追いつき、そしていよいよ12月12日となると最早この「怒涛の展開」×「シーソーゲーム」の虜。あくまでフィクションとは言え、まさかと思いつつ「どちらが勝つのか?」固唾をのんでしまうほど。或いは、ついついヒーロー映画のように新手を期待してしまったりと、終盤はもはや感情移入が止まりません。
まぁ、韓国映画に対してよく言われることですが、ここまで描いてくれるからこその面白さ。ただ、それが出来るのは「こういう過去」が割と最近まであったことへの反動でもあるような気もします。勿論、報道や教育で「真実」を伝えることは大事ですが、映画と言うエンターテインメントから「真実」へ興味を持てるほうが吸収力高く、そして記憶に残りやすい。韓国の文化政策「支援はするが、干渉はしない」、もっともっと見習わなければいけませんね。堪能しました。