劇場公開日 2024年3月22日

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「タイトルが沁みる」ゆるし ひろちゃんのカレシさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5タイトルが沁みる

2024年4月21日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

扱ってるテーマの性質上、だれも救われない結末は必然だろう。
宗教は弱った者に救いや癒しを与える一方、しばしばコインの裏表の如く「弱みにつけ込む」という邪悪面を持ってしまう。さらに、迷っている人に正解のようなものを提示する事で、自分で思考する、という実存の根幹に関わる習慣を放棄させることもできる。あの母親の言動はまさにその成れの果てを示している。そういう意味で、困窮者や「考える」という営みをしない人・できない人を取り込んで勢力拡大を図る一部の政党はあまりにも「宗教的」だ。話が逸れたが、神様が、いくらでも良からぬ目的に利用可能なツールであるというのはなんと皮肉なことだろう。
信心という物は良心や道徳心の拠り所となり得るから否定するつもりは毛頭なく、評者自身高僧の言葉に心を洗われた経験もある。あのセミナーのリーダーは恐ろしく一方的・断定的な物言いであったが、真に救いを与える宗教家なら、本人が自分の頭で考え抜いて善き道を選ぶよう導くだろう。
主役母子が若干力量不足か。娘が杉咲花で母が中谷美紀だったりしたらさぞかし鬼気迫る作品になっただろうが。

ひろちゃんのカレシ