ゴッドランド GODLANDのレビュー・感想・評価
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大自然を前に自分を律せなかった者の末路
氷河の上で宣教師がダゲレオタイプのカメラで撮影するポスター。見るからに荘厳さを漂わせる1枚、かつ難解な映画だろうなぁという印象を持ちつつも、興味を惹かれました。
たしかに難解で鑑賞後も悩んでしまう映画でしたが、古さを醸し出すためか1.33:1という正方形に近いアスペクト比と、角の丸みが彼らを覗くように見ているように感じ、没入感はなかなかのモノ。ここは作り手の工夫を感じます。
そんな本作、ストーリーとしてはデンマークの宣教師が教会からの命を受けアイスランドの地の教会を建てるというもの。しかしその宣教師の前にはアイスランドの自然と言語の通じない現地住民が立ちはだかり、宣教師はその逆境に抗っていく・・・てな感じです。
しかし、この宣教師、自分は好きにはなれません。というのも、言葉で言うてもホントのところで周りに対し感謝しているとは思えないからです。厳しいアイスランドに自然に対し、身も心もボロボロになる宣教師ですが、助けてくれるのは現地住民です。そんな人たちに対し感謝の意が見られません。逆に現地住民:アイスランド人が尊く見えてくるのです。たとえデンマーク人を嫌っている人(アイスランドは過去にデンマークの植民地であったためか)でも、命の危機の前では助けを優先する。ボロボロで口数も減った宣教師に対し優しく接する。住民は少ないけれど助け合ってこの地で生きているのを感じます。なのに宣教師ときたら、案外冷たく接し、いつの間にか「あなた牧師でしょ?」と言うような行動に走っていくんです。
アイスランド人が慈悲ある方々に見え、かたや宣教師は俗人だったのかと。
その時、少し話は逸れますが、“神とは?”という問いが自分の中に出来てました。そして自分の今持っている答えとして“自己を律するためにある存在”という考えがあります。神の行いは良き行い、つまり神の教えは自分が良い方向に進むための道標、ということは己を律するには神の存在が必要である、という考えを自分は持っています。それに照らし合わせた時、宣教師の行いはどうか?どう考えても自分を律せていないではないか。それゆえ彼は最後、悲しき最後を迎えてしまいます。彼は、アイスランドの地で、自分が信仰する神に試されたのです。
自分を律する力があるかどうか。
本作は、それを投げかけているのではないかと、自分は思います。
冷たい距離感。
振り返ってみると宣教師の布教ものは指を折るだけでも5本ほど思い浮かぶが、中でも上位に食い組んだような気がする。
映画冒頭の未開の地への布教活動への指令は、満たされた食事をしながらで、ついで感満載。そんな教会で勤めているからか、言動に幼さを感じられ、未熟そのもので頼りない宣教師が主役(後半では「神に身を捧げる」などの能書を垂れていたが)。
デンマーク>アイスランドとの関係性が前提にあるからか、命を助けられたにもかかわらず宣教師から自ら歩み寄ることはない。むしろシャットアウト。この冷たい距離感が、アイスランドの手付かずの豊かでありながらも、厳しい自然とやけに相性良く感じた。
小さなスクリーンサイズで濃厚な時間だった。
映画としては悪くない、 けど牧師にとにかくむかつく それでもアイス...
映画としては悪くない、
けど牧師にとにかくむかつく
それでもアイスランドの景色の素晴らしさを見るだけでも良い
セリフ少なめだけど全然飽きなかった
壮絶な雰囲気は強烈に伝わってきます
ロケーションは物凄いとは思いますが、内容があまりにも・・・
あの画角も、本当に意味があるのかどうか・・・きっかけはそうだとしても・・・
長いし、正直、時間を無駄にしてしまった気がしています
信念を貫く強さと謙虚さ
厳しい環境や言葉が通じない苦しさ以前に
ルーカスにはそれがなかったように思う
なかなか面白かったので他の作品も見たいと思い調べたら東京ノーザンライツフェスティバルで上映していたとは
見逃していた…
コロナ禍で中止になって以来復活してないけど、ノーザンライツフェスティバル好きなので再開待ってます
宗教が必要なくらい厳しく、宗教なんの役にも立たないくらい厳しい土地って事かなぁ。
私こういう映画が好きなんだなと改めて思った。
死ぬほど美しく巨大なアイスランドの自然が、ちっちゃい画面のなかで無限に広がって見える。
デンマーク統治下のアイスランド厳し過ぎる自然の中、信仰の必要さと無力さ、その両方を画面が言葉少なく執拗に語りかけて来ます。
主人公の牧師もどう見ても神経質で生命力を感じない写真オタの澄んだ瞳が大自然で生き残れない感満載。まったく現地の人とコミュニケィション取れなかった主人公の上から目線が敗因。通訳失った時から詰んでた。
冒頭のアイスランドで発見された銀盤写真から着想した、、という事自体監督の創作だそうだ。
原題の意味も「厳しい土地」的な意味らしい。ゴッドランドだからしかたないね。
傲慢な余所者と冷淡な現地人
主人公の牧師は赴任先に敬意を払わない傲慢な余所者であり、現地人がそのような存在に煩わしさを感じるのは当然である。しかし、旅のガイドを務めた老人もこの牧師に対して終始過剰に冷たく、目的地の村に到着した後もしばしば嫌がらせを行うなど、決して好人物ではない。
終盤、ミサの最中に教会の外で騒ぐ犬を主人公が追い払おうとするシーンは、痛々しすぎて観ていられない。本作はフィクションであり、作中の人物にとっては製作者は神に近い存在である。神を信じて苦行に耐えてきた主人公への仕打ちとしてはあまりにもひどいのではないだろうか。
アイスランドの美しい大自然を舞台に、互いに相手を見下す人間の醜さを描く手法からは、監督の強烈なブラックユーモアを感じる。
中途半端な超小物
19世紀後半、布教の為に植民地のアイスランドへ渡ったデンマーク人牧師の話。
季節は夏、冬になる前にアイスランドの村に教会を建てると言ってデンマークから出かけた牧師が、通訳や現地ガイドと共に馬で島を旅するストーリー。
川でのアクシデントでの発言に‼??お前のせいだろ!と違和感バリバリ。
その後の行動もどうも…牧師とはいえども、村について感謝を述べなきゃならんのは、神様の前にガイドにだろっ!
村の立地が映されておぼえた違和感に作中で触れてくれたと思ったら、そんなことの為にだし。
中盤からは教会建築中の出来事をみせていくけれど、形がなければ何も出来ない。ポンコツですか?
もしかして厄介払いでアイスランド行きを命じられたのか?
終始テンポはまったりだけど、どういうこと?という感じで一応作中には引き込まれるものの、結局どういう意図でこの作品が作られたのかは良く見えず、まさかのアンチキリスト教ですかね…。
ゴッドランド GODLAND デンマークとアイスランドの関係性を一...
ゴッドランド GODLAND
デンマークとアイスランドの関係性を一定以上の知識は要する作品。知識不足の為全部を理解する事はできず苦戦した。
前半はアイスランドの自然の美しさ、偉大さ、神秘さを多く写し圧倒される。
後半はそれに対する様に民族間の違いによる溝が深まってしまい憎み憎まれの関係が露呈していく。
歴史的な作品であり、アート性の高い作品でもあった。
個人的な2024年洋画新作鑑賞ランキング
1 ネクスト・ゴール・ウィンズ 4.8
2 Firebird ファイアバード 4.8
3 コット、はじまりの夏 4.7
4 アイアンクロー 4.7
5 オッペンハイマー 4.7
6 アマグロリア(原題)Àma Gloria(横浜フランス映画祭2024) 4.7
7 コンセント 同意(横浜フランス映画祭2024) 4.7
8 ARGYLLE/アーガイル 4.7
9 アリバイ・ドット・コム2 ウェディング・ミッション4.5
10 バティモン5 望まれざる者(横浜フランス映画祭2024) 4.5
11 デューン 砂の惑星 PART2 4.5
12 愛する時(横浜フランス映画祭2024) 4.5
13 ファイブ・ナイツ・アット・フレディーズ 4.5
14 アクアマン/失われた王国 4.5
15 ニューヨーク・オールド・アパートメント4.3
16 異人たち 3.7
17 ミツバチと私 3.6
18 ブリックレイヤー 3.5
19 ネネスーパースター(原題) Neneh Superstar (横浜フランス映画祭2024) 3.4
20 RHEINGOLD ラインゴールド 3.3
21 12日の殺人 3.3
22 ゴーストバスターズ フローズン・サマー 3.2
23 コール・ジェーン -女性たちの秘密の電話- 3.2
24 コヴェナント/約束の救出 3.0
25 僕らの世界が交わるまで3.0
26 ストリートダンサー 3.0
27 カラーパープル 2.9
28 弟は僕のヒーロー 2.8
29 RED SHOES レッド・シューズ 2.8
30 画家ボナール ピエールとマルト(横浜フランス映画祭2024) 2.7
31 Vermines(横浜フランス映画祭2024) 2.6
32 関心領域 2.6
33 ジャンプ、ダーリン 2.5
34 エクスペンダブルズ ニューブラッド 2.3
35 けもの(仮題)La Bête(横浜フランス映画祭2024) 2.3
36 マダム・ウェブ 2.3
37 落下の解剖学 2.3
38 ダム・マネー ウォール街を狙え! 2.3
39 哀れなるものたち 2.3
40 ザ・エクスチェンジ 2.2
41 DOGMAN ドッグマン 2.2
42 パスト ライブス/再会 2.2
43 パリ・ブレスト 夢をかなえたスイーツ 2.2
44 ボーはおそれている 2.2
45 ジャンヌ・デュ・バリー 国王最期の愛人 2.2
46 瞳をとじて 2.2
47 ゴースト・トロピック 2.2
48 葬送のカーネーション 2.2
49 Here ヒア 2.1
50 美しき仕事 4Kレストア版(横浜フランス映画祭2024) 2.0
51 ハンテッド 狩られる夜 2.0
52 サウンド・オブ・サイレンス 2.0
53 ゴッドランド GODLAND 2.0
54 ポーカー・フェイス/裏切りのカード 1.9
55 アバウト・ライフ 幸せの選択肢 1.8
56 サン・セバスチャンへ、ようこそ 1.8
57 デストラップ 狼狩り 1.6
58 VESPER/ヴェスパー 1.5
59 フィスト・オブ・ザ・コンドル 0.5
番外
QUEEN ROCK MONTREAL 5.0
私ときどきレッサーパンダ 5.0
FLY! フライ! 5.0
π〈パイ〉 デジタルリマスター 2.0
ピアノ・レッスン 4Kデジタルリマスター版 1.5
信仰とは。
彼の地に夢見たものは、何だったのか。これは適材適所の人選だったんだろうか。
彼が神へと続く道と信じて、祈りを胸に進んだ先々で失ったものが何だったのか観て欲しい。信仰心は人の良心あってこそだと私は思っていたのだけども。。
複雑。
前半はこの苦境を乗り越えてこその信仰を体現するような旅に見えなくもなかった。
がしかし、後半どさくさに紛れて不幸を重ねる彼。
知らない土地を案内してもらう割に偉そうだな、そんなに牧師様は地位が高いのか?と思っていたら、アフタートークでアイスランドはデンマークの領地だったと知った。
ということで以下、アフタートークからの学びも事前に知っていたら映画の内容が深まるなと思ったので書きます↓。
時代はぼかしているけども、1874年にアイスランド島に自治法が制定される以前のお話ではないかとのこと。それまではデンマークの支配下にあったそうだ。
役所等でデンマーク語が使われるので、デンマーク語を学校でも習う?のもあり、アイスランドの人はデンマーク語が多分第二言語みたいな感じでわかるけど、逆にデンマーク人はアイスランド語がわからないので通訳が必要だった。
この辺にもデンマークとアイスランドの力関係が見て取れるとの話でした。
また、その言語であるデンマーク語もアイスランド語の方が古い?元になってる?ような話をされていました。
冒頭部分でアイスランド語を牧師が学んでいる時に雨の表現が大量に出てきて、覚えられない、雨(だけ)で良いと言っていたけど、自然が素晴らしい国ほど自然現象の言葉の数が多いんだなと改めて思った。
そしてこの知らない土地に行こうとしているのにその土地の言葉を理解しようとしない所にも支配する側とされる側の立場が透けて見えるなと観終わった後に思った。言語は文化だもんね。
また、この映画はウィリアム・モリスの『アイスランドへの旅』という本と同じ道を通るそうです。この本自体がアメリカ人が好きな作家だから、脳裏に浮かびやすいのではというお話しでした。
あとこれは個人的にああそうか!となったのは、この牧師は宗教が未開の土地に自ら進んで布教しに行こうとした訳ではないということ。この人はアイスランドで住むデンマーク人たちから、教会がないから作りたいと言われて呼ばれて行った、というお話しでした。
観ている間にそのあたりが多少の違和感があった所だったけど、なるほどなと腑に落ちた話でした。
どこまでも美しく、絶対的に誰の力にも左右されない大自然は神様の別の姿なのかもしれない。
牧師の受けた試練に色々ため息をつきながら観たわ。信仰とは、から人間とは、までを考え続けた2時間半だった。
映像美
淡々とした物語とアイスランドの自然が映し出される映像美が合っていて、没入感がありました。かなり長編ですが、主人公の苦悩の道行きを自分だったら?と考えながら美しい映像を観ていると、あっと言う間に過ぎてしまいます。題名の通り、テーマは神と生と死でしょうか?火山の噴火や、朽ちていく動物の死骸など象徴的な画も印象的でした。
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