劇場公開日 2024年3月15日

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「予告編はよかったけれど。」COUNT ME IN 魂のリズム 詠み人知らずさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0予告編はよかったけれど。

2024年3月17日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

ドラムを叩くことの楽しさを伝える映画。
多くの一流ドラマーたちが、どのようにドラムに魅せられてきたのか、インタヴューに応える一方、ジーン・クルーパに始まる歴史的なドラマーたちの映像が流れる。ジャズ、R&B、Rock ‘n’ Roll、Rock、Progressive Rock、Punk、レゲエの影響などなど、とりわけ良かったのは、自分の好みだから仕方がないが、ジンジャー・ベイカー。彼こそ心が震えるような魂のドラムを叩くドラマーだった。ジャック・ブルース、エリック・クラプトンとのクリームの頃を思い出した。
ただし、この映画はエレクトリック・ドラムが出てきてからは、どうかなという感じ。リズムだけが要求されるなら、電気的な信号だけで十分なのかもしれない。それを考えると、ブームとしては良かった面もあるけど、テクノポップの功罪に思い至る。
その後、パワフルなドラムに移って、若手のドラマーたちとの共演場面も出てくる。驚いたことに、女性ドラマーたちも、男性ドラマーに全く引けを取らないプレーを披露する。それはそれで素晴らしい。だけど、ちょっと待てよ。女性たちは、体格からして、男性ほどの筋力はないはず。リズムにおいては同等だけど。それじゃあ、男性のドラムが、以前ほどではないってこと?さらに気になったのは、アリーナでのパワープレーが彼らの主な関心らしいこと。自分のドラムで、10万人を熱狂させたいとか言っていた。もともとアリーナでは、プレーヤーは遠くに点のように見えるだけ。それは、私たちが、後楽園球場でEL&Pやサイモンとガーファンクルを見た時から、変わっていない。
やはり、音楽は演奏会場で、演奏者と聴衆の相互交流があって、はじめて成立するものと信じたい。この映画でも、最初はどのドラマーもそう言っていたけど。

詠み人知らず