「序盤の凄惨なトーンからは想像がつかない結末に身が捩れる滅法オモロイ韓流アクションスリラーの新たなる傑作」貴公子 よねさんの映画レビュー(感想・評価)
序盤の凄惨なトーンからは想像がつかない結末に身が捩れる滅法オモロイ韓流アクションスリラーの新たなる傑作
結論、大傑作です。ちょっと前に絶賛した『ゴールド・ボーイ』と双璧。というか両方観れば判りますが雰囲気がよく似てるんです。
地下格闘で日銭を稼ぐフィリピン人のマルコは病気の母と二人で暮らす貧しい青年。母の治療費を無心するために彼らを捨てた韓国人の父を探していたが、そこに現れたのが父の弁護士を名乗る男。彼の手配で急遽父の待つ韓国へ渡ることになるが、機内で薄笑いを浮かべた見ず知らずの男に声をかけられる。自らを“友人”と呼ぶその男はマルコに尋ねる、「ところで君は何のために韓国に行くのか知ってるのか?」と。
これが多分ギリギリ許容範囲の導入部。ここからの怒涛の展開で118分があっという間です。次から次に現れる人間が胡散臭い連中ばかり。年に10本くらい韓流スリラーを観ている人なら結構な序盤で物語の核になるネタに気づいてしまいますが、実はそれとて無数にあるフックの一つに過ぎない。複雑に交錯する欲深い人間達の血も涙もない抗争の中でも決して焦らず臆せず笑顔を絶やさない男の存在が終始不気味な光を纏っていて、壮絶な殺し合いの果てに顕われる意外にも程があるオチにあっさり度肝を抜かれます。
てな感じのボンヤリしたことしか書けないのがどうにももどかしいですが、とにかく脚本が秀逸過ぎるしそれを美しくも血塗れでスリリングなアクションスリラーに纏め上げた『THE WITCH 魔女』のパク・フンジョン監督の手腕に頭が下がります。こんな傑作の封切り初日でなんで客が2人やねん!?ってのにもビックリです。もう途中からこっちもニヤニヤが止まらなくて、最後にマジかよ!?っと唸らされてこりゃあええもん観たわーとため息つきながらスクリーンを後にしました。