「STUNTMAN」フォールガイ U-3153さんの映画レビュー(感想・評価)
STUNTMAN
エンドロールが1番あがる。
いわゆるメーキングなのだけれど、演出や編集が介入しない"生"を見ることができる。
作品の中に組み込まれるとどこか現実味も薄れる様々なスタントが、やにわに現実味を帯び、アレらをやっている人がいるのだと教えてくれる。
年甲斐もなく滾ってくる熱を感じる。
物語はそこそこ込み入ってはいるものの、デフォルメも多いと言うか酷いというか…冒頭に主人公2人にそれぞれ長回しがあるのだけれど、撮影現場の雰囲気というか、現実とは違う世界観を提示してるようではあって…けれどデフォルメ過多で、いくらなんでもと思いはするものの基本コメディだしなと溜飲を下げる。
とは言え、コルトの台詞の端々にスタントマンとしての思考を感じ、キャラまでデフォルメし過ぎてる訳ではないのだなと思う。
車を止める為に仁王立ちで撥ねられるってなやり過ぎじゃねぇかとは思うが…まぁ、それに近しい事をやらなくもないのであろう。
物語の随所に差し込まれるスタントは楽しくて、やってんなぁと思う。そうスタントなのだ。あまり人と戦ったりしない。
なんて言うかアクションマンとスタントマンに明確な境界があるかのようだった。
色んなスタントを魅せるというか、物語上は駆使していて、スタントマンのもつ身体能力を存分にアピールしてくる。というか、1番違うのはハートなのだとアピールしてくる。
昔は命知らずなんて言葉を当てられたりもしたけれど、ヤレる事やいけるんじゃね?と思うボーダーラインがバグってるのだ。コルトも復帰したてのスタントで、砂のコンディションを気にする程、繊細な感覚を持ち合わせてもいる。
かと思えば、数十m下のエアマットにまるでフカフカのベットにダイブするかのように笑顔で落ちてったりする。その内側を理解しようとしても無理で…そういう人種なのだ。
1番グッときたのがサムズアップのくだりだった。
「親指を折るなと叩き込まれる」
これこそがスタントマンの矜持なのであろう。
常人がやると死ぬような事をやっても無傷で生還する。「俺は大丈夫だよ」そのサインが"サムズアップ"って親指を立てる意思表示なのであろう。
途中、コルトが大事そうにマイアミバイスのジャンパーを抱きしめるとことか胸が熱くなる。
彼が業界を離れ彼女の前から去った理由にサムズアップが絡めてあった事も説得力あっなぁ。
スタントマンってやっぱカッコいい!
世界各地で前人未到のアクションに日夜挑んでいるスタントマンに拍手喝采だ。
後半の盛り上がりがさすがで後味としてはすこぶるいい作品であった。