「『見つめて欲しい』、いい歌だわw」フォールガイ TWDeraさんの映画レビュー(感想・評価)
『見つめて欲しい』、いい歌だわw
96回アカデミー賞でプレゼンターとして登場したライアン・ゴズリングとエミリー・ブラント。お互いの出演する『バービー』と『オッペンハイマー』をネタにして言い合いをする二人でしたが、勿論これは本作『フォール・ガイ』のプロモーションとしての演出。仲良く喧嘩している二人の様子に相性の良さを感じ、公開を楽しみにしていた一作です。本日、サービスデイのTOHOシネマズ日本橋、9時30分の回はそれなりの客入りです。
毎度満足度が高いデビッド・リーチ監督(或いは製作)作品。本作もトレーラーを観る限り間違いないだろうと思っていましたが、それでもやや高を括っていたところがあったことを告白します。観終わってみれば素晴らしいと言わざるを得ず、何なら終盤の怒涛の展開に興奮し、キメのシーンではあまりのカタルシスに目頭が熱くなりました。エンドクレジット映像まで最高すぎる演出で、観終わってもさらにいい余韻に浸れる一作です。
まず何といっても驚異のスタント。デビッド・リーチ自身のバックグラウンドであり、彼が創業者の一人である制作会社87North Productionsの「仕事」がこれでもかとばかり詰め込まれています。中でも本作中の「あるスタント」については実際のギネス記録を塗り替えたほど(その割に劇中ではアッサリ)。また別のスタントシーンでは、(劇中の)スタッフに(セリフで)「VFXでもいけますけど」なんて言わせておいても、当然に生身でガンガンいっちゃうところ、プロの凄み、そして根性を感じます。
また、要所要所で効果的に使われるサウンドトラックにアガります。或いは、映画に関係なく聴けばベタなセットリストに感じかねない選曲も、作品内におけるシーンと役者の演技に合わさった途端、笑えたり、泣けたり、曲と映像の相乗効果に思いのほか感情をもっていかれます。
そして言わずもがな、ライアン・ゴズリング&エミリー・ブラント!一見クールな印象の二人ですが、コメディもアクションもお手の物。リアルな俳優や作品を話題にしたセリフなど、映画愛溢れるまさに映画人たちのメタ構造作品である本作。さすがに第四の壁までは越えてこないものの、時折見え隠れする悪ノリに近いやり過ぎアクションも、この二人にかかると飽きずにずっと観ていられます。特にSっ気強めなジョディ(エミリー)はチャームに溢れていて、彼女のために何度もサムズアップで立ち向かうコルト(ライアン)に納得度高すぎです。また、この二人に絡んでしっかりコメディリリーフが際立つハンナ・ワディンガム、ウィンストン・デューク、ステファニー・スー等、ナイスなバイプレイも見逃せません。
アクションあり、ロマンスありでまさに大人が楽しめる本作。作り手たちの映画に対する強い愛も感じられる幸せを、出来れば是非劇場で観ていただくことお勧めです。