「これぞ、スタント アクション by ハリウッド」フォールガイ 泣き虫オヤジさんの映画レビュー(感想・評価)
これぞ、スタント アクション by ハリウッド
ライアン・ゴズリングに興味は無いが、“LA・LA・LAND”は大好きで、昨年ロスを旅行したときは当然聖地巡礼して来たので、他よりは親しみは持っている男優。でもそれより何より、相手役がエミリー・ブラントであることで「絶対観よう」と決めていた。
【物語】
コルト・シーバース(ライアン・ゴズリング)はハリウッドで一流のスタントマン。「いずれは監督」を夢見ているカメラマン ジョディ・モレノ(エミリー・ブラント)と恋仲にあった。しかし、あるスタントで大けがをして映画から離れざるを得なかったコルトは、そのことに対するモレノの気遣いを負担に感じ、退院後も彼女との連絡を絶っていた。
あるとき、かつてコルトを重用していたやり手女性映画プロデューサー ゲイルから電話が入り、スタントを依頼される。 「もう戻る気は無い」と断るコルトに、今撮っている大作映画で今すぐ腕利きのスタントマンが必要な状況になっているのだが、この作品はモレノの監督デビュー作で、もしこの映画に失敗すれば2度と監督は出来なくなると言われる。
モレノへの思いが消えていないコルトは撮影現場、シドニーに急行する。
駆け付けたのはモレノも自分を求めていると思ったからだが、再会したモレノはゲイルがコルトを呼んだことも知らず、コルトを冷たくあしらう。一方的に連絡を絶ったコルトを恨んでいたのだった。
それでも、コルトはモレノのために復帰初日から体を張ったスタントを見せる。ところが何日もしないうちにコルトはプロデューサー ゲイルにある依頼を受ける。主演俳優トム・ライダー(アーロン・テイラー=ジョンソン)が最近ヤバイ奴らと絡んでいるようなのだが突然連絡を取れなくなったので探し出して連れ戻して欲しいと。
表沙汰にせずにトム・ライダーを撮影現場に連れ戻さなければ映画がぽしゃると理解したコルトはモレノのためにトムを捜し始めるが、次第に危険な状況に追い込まれていく。
【感想】
とても面白かった。
まず何といっても“主役”のスタントが凄い。
スタントマンを主役にしているだけ有って、並みのスタントでは観客が納得しないと思ったのか、凄いスタントの連続。スタントの裏側も見せてくれるので、「こうやってアクションシーンは撮影されるのか」と映画制作の興味も満たしてくれる。
以前邦画でもスーツアクターかつスタントマンを主役とし、唐沢寿明主演の“イン・ザ・ヒーロー”という作品が有った。 その作品も“共演者”実スーツアクター達の気迫が伝わり、感動したのだが、本作も普段は裏方のスタントマンや特撮スタッフ達が「これが俺たちの仕事だ」とばかり普段の数倍気合を入れて作品に臨んだのでは? と思えた。
今年観た“ライド・オン”ではジャッキー・チェンがコルト同様の元一流スタントマンの役を演じていた。こちらも良かったのだけど、こっちはジャッキーおよびスタントマンだけが頑張った感じだが、本作は違う。スタントマンに加えて、カメラワークや爆発セット等、アクションシーンに必要なものを全て見せてくれる。しかも出来上がったアクションシーンは大迫力!
ハリウッドでしかできない、「これぞハリウッド映画」を見せてくれた。
上述が本作の8割と言って良いが、ライアン・ゴスリング、エミリー・ブラントも期待どおり。
ライアンは、コルトを“スター”ではなくちょっと抜けた感じもあるキャラに仕上げていて、すごく楽しませてくれた。
一番の目当て、エミリー・ブラントは、
「やっぱり、いい!」
観る度に魅力を増している感じがする。コルトとモレノのカップルだったら、絶対コルトはモレノの尻に敷かれるなと思うが、モレノだったら敷かれたいと思わされた。
とにかく、ハリウッド娯楽作として、超おススメです。
【蛇足】
タイトル“fall guy”だが、観賞前は予告に使われているクライマックス・シーンがヘリコプターからの落下だったので、それを指しているのかと思っていたが、違いました(笑)
劇中にfall guyの字幕役が「身代わり」となっていたので、そんな意味があるのかと思い、帰宅後改めて調べたら、以下の訳が出て来た。
・だまされやすい人、かも
・演劇などのぼけ役、ばか役
・身代わり
観賞後にこれを見るとコルトはどれにも当てはまっているように思える。
そういう意味で秀逸なタイトル。