「アクションという名のセクシーベーコン」フォールガイ つとみさんの映画レビュー(感想・評価)
アクションという名のセクシーベーコン
他のレビューにもちらほら書かれているが、「フォールガイ」は紛うことなき恋愛映画である。あれだけ予告でアクションとサスペンスをチラ見せしておいて、実際ほとんどラブロマンスなのだ。
主人公・コルトが現場復帰するトリガーとなる「主演俳優の失踪」とそれにまつわるアレコレも、全ては愛を伝えるための試練。
「ラ・ラ・ランド」ではミュージカルだった部分が、全てスタント・アクションに置き換えられた作品、それが「フォールガイ」。
愛する女性に相応しい自分になろうと奮闘する…、筋書きはほとんど「ロッキー」だろ!まぁ、「ロッキー」は作中でも触れられてたしな。
面白いのは「フォールガイ」の中で「メタルストーム」という映画を制作しており、劇中劇のアクションをスタントマンとして演じるコルト、のスタントマンもいる入れ子構造なところである。
普段はメイキングでしかお目にかかれないスタント用の車やら、ワイヤーに吊られた状態の俳優やら、アクションシーンを寄りで撮っているカメラやらがそのまんま画面に収められている。
その上、かつてのアクション映画やロマンス映画のタイトルもバンバン出てくるし、何なら名作アクション映画のオマージュシーンもてんこ盛り。
そもそも失踪したアクション・スターの名前が「トム」だもんな‥。
特に必見のアクションは何と言ってもエミリー・ブラント演じるジョディのアクション。通常、映画のヒロインポジションのアクションは、必死で抵抗してラッキーヒット、苦しむ相手を後目に這いつくばって逃げる、くらいが関の山だ。
なのに、今作ジョディのアクションは確実に相手を無力化しにいったジョン・ウィックばりのアクションだ。
バインダーの使い方は特に必見。強すぎる…!
ラブロマンスだったからなのかは定かではないが、私はかなり楽しめたのだが、一緒に観に行った旦那は「面白かったけど、そこまででもない」くらいのテンションであった。
スタントアクションの教科書かっていうくらい殆どのスタントを網羅しているが、逆に目新しい度肝を抜くようなアクションは無かった、と言われてみると確かにそうかもしれない。
もしかしたら「ドライヴ」を観に行ったつもりが「君に読む物語」が出てきてしまったようなものだから、肩透かしをも食らうのはやむを得ないのかも。