「映画づくりのラブコメディ」フォールガイ 文字読みさんの映画レビュー(感想・評価)
映画づくりのラブコメディ
2024年。デビッド・リーチ監督。映画のスタントマンとして活躍する男は映画監督の彼女との恋も順調だったが、事故を境に身を隠して1年。プロデューサーから誘いを受けて元彼女の映画に出ることになるが、肝心の主演の男がいなくなっていまい、その行方を探すことになって、、、という話。
「焼けぼっくいに火」のラブコメディが、映画スタントをめぐって繰り広げられる。主人公にとって、恋とスタントはつながっており、映画製作は人生そのものとつながっている。「どうして身を隠してしまったのか」だけが進展のためのカギであり、それは言葉やスタントではなく、主役探しの過程でのふんだんなアクションを通して、明らかになっていく。誰かの代わりではなく、自分自身の現実の行動を通して、自分をつくりあげていくのだが、それは現実のなかで映画(虚構)をつくることなのだ。
ここでは、現実と映画(虚構)をめぐる「映画製作についての映画」の宿命的な循環のなかに、主役とスタントというもうひとつの現実と虚構の軸が入っている。現実×映画(本物×偽物)。もちろん、これがそもそも映画なのだから、現実×映画(現実×映画(本物×偽物))なのだが。
まあ、そんなややこしいことは考えなくて、アクション映画として楽しめればいい。エミリー・ブラントをかわいらしく撮るという難しいことにも成功している。たとえパンチを繰り出しても「男に守られるかわいらしい金髪の女性像」という保守的な女性像を守っている。いいか悪いかはおいといて。
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