「男とか女とか…」水深ゼロメートルから なつさんの映画レビュー(感想・評価)
男とか女とか…
青い長方形の水のないプール。
3人の少女達がくだらない事を駄弁りながら底の砂を履き続ける。
ミクは子供の頃から踊っていた阿波踊りの男踊りをしたいが、女の体で男踊りなんてと葛藤する
チヅルは一見お調子者だが、男の元水泳部のクスノキにタイムで敗れ水泳を諦める気で水のないプールを泳ぐ
ココロは化粧という仮面を磨き、男に守ってもらうのが女だと語る
結局、いつの時代も男とか女とかどうでもいいじゃん?って話なのよ。
ジェンダー理解が始まったこの頃でもまだまだ解決しない問題。
彼女達は幼い心でその「男」と「女」の理解が難しく境目を乗り越える事ができず諦めている。
大人でも難しいこの問題は中々減らない底の砂のようにへばりついて離れない。
フィジカル面でも問題は彼女達に否応無しに重ねてくる。
体格や体力、そして一定周期で流れるサビの様な経血。
履ききれそうで、でも積もり、を繰り返して大人になっていくのだろう。
己の力で、時に雨に助けられて。
かつて、JKだった過去を持つ身としては当時からあまり進化していない彼女達の悩みや感情の爆発にアイタタタタ!ってなるし、生理中にプールに入れるとか何事かっ?!てなる。
生理の問題って女にとっては本当に厄介なのよ。ましてや思春期で!!
彼女らの面白くもないおふざけやバカ行動を笑ったりできるのは若いからなのよ…もうしんどい…
野球部ってなんとなく「青春」って感じがする。
そこで活躍するのは「球児」支えるのは「女マネ」
倍率の高いマネに入れなかったココロがマネの座を勝ちとり、喜んで支えるリンカを蔑み己をさらに磨く様などがココロを形成する話で良かった。
そして「青春」から飛沫し溜まる砂を掃除をする彼女達。
そんな「青春」もある
舞台のリブートなので引きの画が多く、表情が見えない分振りが大きくなるのがな。
白いブラウスに透けるキャミ、絶妙な丈のスカート、水泳部のチヅルの焼けた肌と対象的なココロの白い足。
若さ弾けるたった一瞬の青春を本当に綺麗に描いているなぁと感じる。
ただ、彼女達から発せられるなんとなく「いい言葉」が多くて結局なんなのかよくわからなくてモヤモヤした。