劇場公開日 2024年5月3日

「演劇的閉鎖性」水深ゼロメートルから La Stradaさんの映画レビュー(感想・評価)

演劇的閉鎖性

2024年8月27日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 高校演劇を原作とした映画化作『アルプススタンドのはしの方』は、その意外な設定・高校生らしい思いの発露が大きな評判を呼びました。僕も大好きな作品です。そして、高校演劇映画化作の第二弾が遂に登場しました。

 夏の補習で、水のないプールの底に溜まった砂を掃除する様に命じられた女子高生4人のお話です。物語は、殆どこの乾いたプールの底で進み、一人一人の苛立ちや疑問・焦りがぶつかり合います。

 『アルプススタンドの~』も本作同様のワン・シチュエーション・ドラマであるのですが、その演劇的閉鎖性を逆手に取って成功したのに対し、本作は演劇性に足を引っ張られてしまったと感じました。背景映像の殆どがプールの壁と言う閉鎖性に息苦しくなります。そこを打破する為にもっと強い思いのドライブ感が欲しかったな。

 でも、高校生らしい会話の切れ味は小気味よく、「素直なひねくれ」も応援したくなりました。高校演劇の映画化作が更に続くのなら必ず観に行くよ。応援しています。

La Strada