「心と身体に時差が生じる」チェンソーマン レゼ篇 momoさんの映画レビュー(感想・評価)
心と身体に時差が生じる
ルックバックも上からのアングルが印象的だったが、これもオープニングとエンディングのアングルが素敵だった。
そして、とにかく前半のレゼが可愛い。デンジなんてチョロヘイだから、こんな男の理想のファム・ファタールが現れたらイチコロだ。夜の学校での2人だけの授業、プールに飛び込んで裸で泳ぎを教えるシーン、花火のシーンが美しすぎる。コミックでは表現できない各所で使われる音楽がまた素晴らしい!
胸きゅんなシーンをこれでもかと見せてくれることで後半の血なまぐさく残虐なバトルシーンが生きてくる。
藤本タツキは残虐性を美に変えるのがうまい。
圧倒的に強い悪魔のレぜと超絶可愛いレゼが頭の中で交錯して胸がどんどん苦しくなっていく。
エモいとはこういうことか。
観ているうちに、今の子どもたちがチェンソーマンを支持する気持ちがどんどん解明されていく。
背負わされた重い荷物、孤独、理不尽な目にあっても暴力に訴えられない手足をもぎ取られたようなしんどさ、時折顔を出す性の目覚め、善と悪の心の葛藤、色んなものがないまぜになって、身動きぎ取れず淡々と死んだ目で生きていくのは本来的には嫌なんだろうみんな。
デンジの姿はできないことを代わりにやってくれる、言ってくれる代弁者でもあり、強力なカンフル剤のようだ。
強すぎる刺激にパンチを食らって胸が苦しくなる。その時は苦しいばかりなのに、時差で後から涙が溢れてきた。
こんなものが作れる藤本タツキのすごい才能にも涙する。
感受性が死にかけた全世界のヤツらにチェンソーマンの一撃を食らわせたい。
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