「「映画」として観るか、「アニメの延長」として観るかで、評価が大きく分かれる作品」チェンソーマン レゼ篇 ハイマ―ディンガーさんの映画レビュー(感想・評価)
「映画」として観るか、「アニメの延長」として観るかで、評価が大きく分かれる作品
『レゼ編』を観終えて最初に感じたのは、「これは“映画”というより“アニメの延長線”だ」ということだった。もちろん、これは決して悪い意味ではない。むしろ作画や音響、演出の完成度は非常に高く、特に雨や水、光の質感表現や、レゼというキャラクターの儚さと衝撃を繊細に描き出す演出は圧巻だ。戦闘シーンの迫力やテンポも抜群で、アニメーションとしてのクオリティは間違いなく一級品と言える。
しかし一方で、「一本の映画」としての体験を期待すると、やや物足りなさを感じる部分があるのも正直なところだ。たとえば『呪術廻戦0』は、そもそも原作が「読み切り」として独立した物語として描かれていたため、映画化された際も一本の作品として自然な完成度を保っていた。『レゼ編』は原作の一エピソードを抜き出した構造ゆえに、作品単体としての起承転結や大きなカタルシスは弱く、どうしても「シリーズの途中」を観ている感覚が強くなるのは避けられない。
とはいえ、この作品が持つ価値がそこに尽きるわけではない。原作ファンにとっては間違いなく“最高の贈り物”であり、シリーズの流れを追ってきた人にとっては、感情を深く揺さぶられる濃密な時間になる。スクリーンの大画面と大音響で観る『チェンソーマン』は、ただのテレビアニメとは異なる体験を与えてくれる。
結局のところ、『レゼ編』は「独立した映画」としてではなく、「物語の大切な一編」として受け止めると、最も輝く作品だと思う。映画としての完成度よりも、“シリーズの中で紡がれる物語”そのものを楽しむ視点を持てば、その魅力はより素直に心に届くだろう。
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