「劇場版ってのはこう!」チェンソーマン レゼ篇 セッキーかもめさんの映画レビュー(感想・評価)
劇場版ってのはこう!
チェンソーの悪魔の心臓をもつ主人公デンジは、突然の雨に見舞われ公衆電話で雨宿りをしていた。そこへ1人の少女レゼが入ってきた。彼女は、デンジの顔を見て、飼っていた犬にそっくりであると突然笑い出す。喫茶店で働くレゼと公安で働くデンジは徐々に距離を縮めていくが…。
原作は読了し、最低でも10回は繰返し読んでいる。本作が映画化することを知ってまず思ったことは劇場版の尺があまってしまうのではないかということである。結果として、戦闘シーンを膨らませて描いたことにより尺はちょうど良くなっている。
観賞後の第一の感想としては、原作とは別物だなと感じた。チェンソーマンの原作の特徴として最も印象的なものは、しゃべらないコマの多さである。ある発言に対して、まず表情のみの描写が多い。それがシュールな笑いにつながる場合もあるし、不気味な雰囲気を醸し読者の恐怖心を煽る場合などもある。無言のコマを読者に考えさせて言わんとしていることを言葉よりも伝えてくるのである。
さて、それがアニメ化することによりどうなるのか。当然このような描写は存在しなくなる。原作ファンはなんだかふつうのアニメになったちゃったな感が強い。ただこればっかりは映像化なので仕方ないことである。
本作を見て最も嬉しかった点としては「この扉は絶対に開けてはダメだ」と言うシーンを最初に入れてくれたことである。レゼ編はあくまで、このあとに続く本当の敵マキマとの戦いの大きなフリのひとつの要素でしかない。このシーンがこのあとに続くストーリーにとって重要な意味を持つようになる。
原作の雰囲気が好きすぎることとストーリーをすべて知ってしまっていたため感動が少なくなってしまったのかもしれない。もし原作を観ずに本作を見て、序盤のマキマとのデートでマキマが映画を見た帰りにデンジへ言った言葉やラストシーンが気に入った人はぜひ原作を読んでほしい。お気に入りの漫画が1つ増える可能性が高い。
十分楽しめる今回のレゼ編がチェンソーマン一部の中では最も平凡なストーリーになっている。この後に続く怒涛の芸術性溢れる展開をアニメではどう見せてくれるのか。期待している。
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