「スピード感が足りない」チェンソーマン レゼ篇 haaatuさんの映画レビュー(感想・評価)
スピード感が足りない
正直に言うと、観終わったあとに真っ先に出た感想は「MAPPAじゃダメだな」でした。米津玄師の曲や予告編で期待値をぐっと上げられただけに、裏切られた気持ちが大きい——期待と現実のギャップがここまで響く作品も珍しいです。
まず、テンポの問題。全体的にスピード感が足りない。特に前半の日常パートが長く、ダラッとした印象が強すぎて、途中で寝そうになり「帰ろうか」と本気で迷った瞬間がありました。正直、もし30分ほど短くまとめられていたら、もっとテンポ良く楽しめたはずです。劇中の映画館シーンは、わざわざ映画の中身を見せる必要があったのか疑問で、あれがあることで余計に間延びしてしまったように感じます。プールのシーンも長すぎで、緊張感を削いでしまっていました。
一方で、戦闘シーン自体は基本的に良い。瞬間的にグッと惹きつけるカットや演出、身体感覚を掴む見せ方は確かにあるので、そこは観ていて楽しかったです。ただし問題は“良い部分のばらつき”で、戦闘シーンの統一感がなく、撮影・編集・色調の差で見にくい場面が散見される。何がどう起きているのか瞬時に把握しづらい箇所があり、せっかくのアクションの勢いがそがれてしまいます。
制作会社への期待も裏切られました。『呪術廻戦0』が作れる会社なのだから、もっとできるはず。それだけに、今回のレゼ篇の仕上がりを見ると「今後の『チェンソーマン』アニメは観なくていいかも」とまで思ってしまう人が出ても不思議ではありません。冒頭で勢いが出ないと、そのダルさがラストまで尾を引く――まさに“最初がだるいと後半までダルい”という典型です。
良かった点・改善してほしい点をざっくりまとめると:
良かった:戦闘の瞬間瞬間には見どころがあり、映像としての手ごたえを感じる場面がある。
改善希望:前半の冗長カット(映画館シーン、プールシーンなど)を削り、30分程度の再編集でテンポを整えてほしい。戦闘の画作り(照明・編集・カメラワーク)の統一を図り、視認性を上げてほしい。
結論として、チェンソーマンの世界観や一部の戦闘描写にワクワクする瞬間はあるものの、全体としては期待を裏切られた感が強く、人によっては「観る価値アリ/ナシ」が分かれる出来栄えです。米津玄師の楽曲と予告編で高まった期待が大きかっただけに、評価は辛めにならざるを得ません。
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