「トゥルーイマジン」ブルーイマジン uzさんの映画レビュー(感想・評価)
トゥルーイマジン
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パパ活、映画業界、職場から男性被害者まで絡めた、性加害に傷付き悩む人たちの群像劇。
ただ、全体的に苦しんでいる印象が薄かった。
乃愛は女優を休業すらしてないし、友梨奈なんて懲りずにパパ活再開してるし。(そんなんできるなら出てけ)
また本作には、実際の被害者のトラウマへ配慮してなのか直接的な描写がない。
それ故に、本来あるべき“生々しさ”や“切実さ”が感じづらかったのは非常に勿体なかった。
新聞にも雑誌にも取り上げてもらえず、ブログから声を上げる人が増えて炎上、という流れはリアル。
反面、会見に乃愛たちが潜り込めている違和感も強い。
メアリーの女性記者が手引きするなど、何かしら整合性を持たせる描写が欲しかった。
クライマックスで凛や佳代は頑張ってたが、主人公がほぼ泣いてるだけだったのも物語としては物足りない。
裏では話を合わせてた司会者が、サラッと乃愛たち側につくのは面白かったけど。
印象に残ったのは、新聞記者の語る「役をもらえてたら営業行為と捉えてたんじゃないか」という台詞。
飲みに行くなどの行為に、親密になり役をもらおうという下心がなかったと言えるのか。
性加害を擁護するつもりは一切ないが、“営業”や“親密さ”の想定がズレてただけという取り方も出来る。
(こんなこと言うと叩かれるかな…)
本作の“被害者”たちは、一方的に“かわいそうな存在”としては描かれていない。
先に書いた友梨奈の軽率さや、「男の人はいいよね」という乃愛の想像力の欠如は意図的に入れたのだろう。
そのあたりの真摯さと客観性には好感を覚える。
こういった作品がつくられる意義も感じるため、もっと切り込んだものを期待したい。
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