劇場公開日 2005年9月17日

「損害保険会社の社員教育用ビデオだったのかもしれない。」四月の雪 kossyさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0損害保険会社の社員教育用ビデオだったのかもしれない。

2025年1月31日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 どちらが運転していたのかわからないから示談は難航。対人の自賠責保険は出るだろうけど、同乗者保険はどうなるんだ。強制保険とも言われるこの保険によって、死亡者には3千万円が支払われる。しかし、将来が有望視されている若者の場合、民事訴訟に持ち込まれて多額の賠償額を要求されることもある。それを補うための任意保険。加入していれば、搭乗者保険もあるだろうから、不倫の相手やペ・ヨンジュンの妻にも支払われるはずだ。死亡のときよりも重度障害を負った場合の方が高額の保証があるが、入院が長引いたり特別の医療が施されれば「死んだほうが良かった」と嘆くこともよくある話だ。(すべて日本の事情です)

 さて、この映画は不倫のお話です。「ヨソ様の妻に手を出しちゃ痛い目見るよ」という戒めの内容でもあるのです(勝手な解釈ですみません)。つまり、ヨン様とヨソ様をひっかけたわけですね。「言い訳を聞きたい」とか「復讐したい」などと、残されたパートナーは不倫中のカップルに対して憤りを感じながらも、手厚く看護することで真の愛とは何かを問いかけており、事故を起こした本人でもないのに死んだ若者の葬儀に参列し罵声を浴びせられるという、夫婦の責任論をも訴えているわけです。

 こうした美談で終わってしまうと映画として全く面白くないので、結局残された二人は恋に落ちてしまうのですが、それ以降は「ヨン様もイェジンちゃんもやはり血の通った人間なんだなぁ~」と観ている者に親近感を与える仕組みになっていました。しかし、恋に落ちる過程での心理描写には不満が残ってしまいますし、ヨン様がやりきれない気持ちを酒に求めてもっと自堕落な生活に変貌する場面とか、自暴自棄になってしまう場面が欲しいところです。例えば、示談金が足りなくなったため義父を脅して金をせびるとか、病院の会計で「もっと安くしろ!」と直談判するとか・・・そうしないと「ヨン様のイメージビデオだ」とか「アイドル映画」だとかいった酷評を受けてもしょうがないと思うのです。

 終盤の展開は好きですし、ソン・イェジンがストッキングを脱ぐシーンとかヨン様が鼻血を出すシーンも好きです。それから、葬式で土下座をするシーンにはびっくりしました。

【2005年、韓流にハマってた頃に鑑賞】

kossy